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2019.04.30

【新型SUV】フォルクスワーゲンのT-クロスが大注目の理由とは?

フォルクスワーゲン(VW)の新型車「T-CROSS(ティークロス)」。ホンダ・ベゼル、マツダCX-3、日産JUKE、プジョー2008、ジープ・レネゲードやルノー・キャプチャーなどなど、群雄割拠のコンパクト・クロスオーバーSUV。その本命と目されるモデルに試乗した。

CREDIT :

文/小川フミオ

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横長のヘッドランプなどフロントグリルがスポーティだ

フォルクスワーゲンが本気で作ったコンパクトSUV

2台持ちはクルマ好きの夢ともいう。まあ、価格帯によってはそうむずかしいことではないかもしれないが、いざ持つというとき、どんな組み合わせにするか。楽しい悩みである。

都会人ならこれをどうぞ、というモデルに先頃出合った。フォルクスワーゲン(VW)の新型車「T-CROSS(ティークロス)」だ。欧州で発表されたのは2018年秋。ジャーナリスト向けの試乗会が開催されたのが2019年3月である。場所はスペインのリゾート、マヨルカ島だ。

T-CROSSはVWのポロやT-ROC(アウディQ2)とシャシーを共用するコンパクトなサイズのクロスオーバーSUVだ。高めの全高と、クリアランス大きめのホイールハウスが見た目の特徴である。ポロにはSUVテイストのクロスポロというモデルがあるけれど、T-CROSSのほうがより特別感が強い。

いま欧州では、ハッチバックの売れ行きが不振という。代わりに売れているのがクロスオーバータイプのコンパクト車である。まだまだ伸びしろのある市場と言われる。T-CROSSはそこにあてたモデルだ。
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全長4108ミリ、全幅1760ミリ、全高1584ミリとコンパクトだが見た目は堂々としている
T-CROSSは、ただし、マーケティングだけで開発されたトレンディなプロダクトで終わっていない(私は最初そう思っていました)。すばらしく出来のいいコンパクトSUVなのだ。

そのよさは大きくいって二つだ。ひとつはしっかりした走り。もう一つはパッケージングである。じつにきびきびと走るうえに、ステアリングホイールのフィールもダイレクトでスポーティだ。

全長は4108ミリとポロより短いのに、室内は後席を含めて、信じられないぐらい空間的余裕がある。それでいて荷室スペースも確保されている。よくまあ、ここまで巧妙にレイアウトできたなと私はいたく感心したのだった。
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個人的に気に入った内装がこの「デザインパッケージ」(日本導入は未定)
サイズでみた場合、直接的なライバルはプジョー2008(日本では265万円~)だ。T-CROSSが全長4108ミリ、全幅1760ミリ、全高1584ミリであるのに対して、プジョーのSUVは4160ミリ、1740ミリ、1570ミリである。ホイールベースはVWが2551ミリで、プジョーは2540ミリだ。

ほかにはホンダ・ベゼル、マツダCX-3、日産JUKEといったモデルも同じセグメントに入ってくる。輸入車ではプジョー2008に加えて、ジープ・レネゲードやルノー・キャプチャーも挙げられる。

マヨルカの試乗会場で話しを聞いたマーケティング担当者は、「この市場ではルノー・キャプチャーが強い」と語っていた。日本では266万9000円のプライスタグをつけるフランスの前輪駆動のクロスオーバーで、サイズはやはりT-CROSSと近接している。ルノーのほうが全長で約15ミリほど長いぐらいである。
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ライバルに対するアドバンテージは?

T-CROSSにはライバルが多いが、VWではもっともまっとうな手段で、市場で優位に立とうとしているように思える。つまりこのクルマの最大のセリングポイントは、ここで述べているように、クルマとしての完成度の高さなのだ。

ワインディングロードではダイレクトな感覚のステアリングホイールを操作して気持ちよくコーナーをこなしていく。それでいて、乗り心地は快適なのだ。大型車に乗っているような気分になる。

乗用車をベースに開発されたヨンクは、往々にして乗り心地がよくない。車高が上がったぶんサスペンションアームが動く量が制限されるからだ。T-CROSSでマヨルカのさまざまな道を走った印象では、その懸念は払拭されている。
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ライビングダイナミクスはすばらしい
誰が乗っても、しなやかでいいなあ、と思うはずだ。室内は豪華ではないものの、作りこみの品質は高く、ドアの閉まる音から各種スイッチの操作感、シートの座り心地にいたるまで、高級車なみのレベルだ。

快適性に寄与しているのは、もうひとつ、室内の静粛性だろう。クルマには騒音源が多い。ウィンドシールド、ルーフ、サイドウィンドウ、ハッチゲートを持つクルマなら開口部、エンジンとタイヤハウスというぐあいである。

T-CROSSは、時速120キロぐらいまでは驚くほど静かだ。「音の侵入経路を徹底的につぶしました」とVWの技術者が鼻の穴をふくませて、いや、得意満面というかんじで言うだけのことはある。都市生活者のための小さな高級車だと思った。
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前後に14センチスライドする後席空間は信じられないほど広々している
日本には2019年中に導入したいとVWの日本法人は言い、詳細は不明だが、おそらくエンジンは85kW(115ps)の最高出力と250Nmの最大トルクを持つ1リッター3気筒になりそうだ。

変速機は7段DSG(オートマチックと同様に操縦できるツインクラッチ)で、ドライブトレインは前輪駆動である。仕様も未定とのことだが、私個人としてはホイールやダッシュボードの一部、それにシート地が特別な色となる「デザインパッケージ」の導入を、併せて望む。

2台持つうち1台はこれで決まった。もう1台はさあどうする。スポーツカー? グランツーリスモ? 

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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