モテるためにシガーを始めたチャーチルだってそうかもしれない
スポーツカーをスポーティに乗りこなしたり、洋服を格好良く着こなしたりするのと同じで、シガーも“こなし力”がモノをいうからです。
そういう意味において、シガーはハードルの高いアイテムかもしれません。嗜好品としての知的教養と同時に、吸いこなす体力、自然な動作を身につけるためには、相応の数の投資が必要だからです。
かのウィンストン・チャーチルは、シガーがトレードマークとしておなじみです。一説によると、チャーチルは生涯30万本のシガーを灰にしたと伝わります。その真偽は別として、彼にしたところで、最初からシガーが似合っていたわけではないでしょう。
少なくともトレードマークといわれるようになるまでには、膨大な煙を無駄にしたことでしょうから。否、その無駄を重ねることで、“こなし力”の礎なのです。
それは、巷間でいわれる「キャラづくり」などとは次元が違います。本当のキャラクターは、つくるものでははく、滲み出てくるようなものだからです。
ちなみに今月の一本は、チャーチルの名を冠した限定アイテム。全長152㎜と大きめですが、こなし力を養うという意味でも、吸い応えのあるサイズです。
これは持論ですが、初心者にこそ大きめのシガーをオススメします。基本的に、シガーは大きいほど味がまろやかなのと、短くなるに従って、長さに応じた持ち方の練習になるからです。でも、結局のところ自分が旨いと感じることが大事。それがこなしの極意だからです。
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中村孝則●コラムニスト
世界各地を独自の視点で読み歩き、さまざまなメディアでラグジュアリーライフを提案する。先頃、シガー評論家の広見譲さんと共著で、シガー専門書「ザ・シガー・ライフ」(オータパブリケイションズ)を出版。