文/中島 由貴
写真/河合 綾
グリル梵ハーフ皿
むか〜し昔(といっても18世紀)、イギリスに第4代サンドイッチ伯爵ことジョン・モンタギューがいたそうな。カードゲームが大好きな伯爵が、熱中するトランプゲームの合間に片手で食事が済ませられるようにとパンにフィリング(具)をはさんで食べていたのが始まりというのがサンドイッチの定説。そんな本場の主流は、きゅうりをスライスしてバターを塗ってはさんだだけのかなりストイックなもの。

…なんですが、ところ変わって日本では、昭和10年にトンカツ屋の女将がひとくちカツを食パンにはさむことを思いつき作ったという小ぶりなカツサンドを皮切りに、独自の美味しさをストイックに追求してまいりました。そんなワケで平成のこの世には、日本の紳士淑女の本能に訴えかけるド迫力級サンドがたーっくさん! 今回は、オトコゴコロをくすぐる極上で極厚な肉サンド5タイプを厳選しました。

少し待ってからが食べ頃の王道カツサンド

◆ 宇田川

三越前の「宇田川」と聞くだけで、ごくっと喉がなるという食通の諸兄もいらっしゃるかと。それもそのはず、1967年創業のこのトンカツ料理店のカツサンドは、常連さんのリクエストがきっかけで生まれた、いまや業界の有名銘柄。 

購入の際は事前に電話でお願い(13時ごろまでの電話で当日購入も可能、または相談)しておきましょう。笑顔がなんとも優しい店主の手から店頭で受け取った瞬間に、ズシっと想像以上の重みにびっくり。高級店の寿司折のような箱を開けると、これでもかというほどに分厚いカツサンドが窮屈そうに入っているではありませんか。

最後の驚きはもちろん味。通常の食パンよりも目が細かいパンをトーストし、千切りキャベツと両面に濃い口ソースがたっぷりかかったヒレカツをはさんでいるので、時間の経過とともにソースが馴染んで絶妙な“つゆだく”状態に。噛むたびに、ヒレ肉の程よい弾力感とキャベツのシャッキリ感、衣のこんがり感もが合わさって、ひと切れでも食べ応えは十分。ただ、すぐもうひとくちが恋しくなるので結局一箱ペロッと食べることになることになりますが(笑)
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◆ 宇田川

住所/東京都中央区日本橋本町1-4-15
営業時間/1:00~13:50、17:00~20:30 土曜夜・日曜・祝日休
定休日/日曜日、祝日
予約・お問い合わせ/☎︎03-3241-4574

京都のカツといえば牛カツ! ヒレ肉カツサンド

◆ 肉専科 はふう

東京のカツサンドは豚肉ですが、京都のカツサンドといえば牛。そしてビフカツサンドといえば、京都御所近くの閑静な住宅街に本店のある「肉専科はふう」。元は古くから評判のお肉屋さんゆえ、肉のクオリティ&美味しさは折り紙付き。そこに加え、パン消費量日本一という舌の肥えた府民をうならせているカツサンドとあらば、食べる前から美味しいに決まっています。

まず拝みたいのは、何cmなの?と思うほどのカツの厚み!そして、艶やかなルビー色の断面!衣はサクサクなのに、中心は見事なレア状態に揚がっているので、しっとりとやわらかくとろけるような舌触り。噛むたびに牛肉本来のうまみがあふれ出てきます。時折感じるピリッと効いたコショウもグッドなアクセント。カツの片面には、マヨネーズであえたレタスや玉ねぎ、トマトなどの野菜が。それを、トーストしたさっくりふかふかのパンでサンドすると、肉肉しいカツと少し甘めなパンとの完璧な相性もさることながら、コールスローのようなサラダと特製ソースとの極上な化学反応が起きるのです。

豪州産の牛ヒレ肉を使った「カツサンド」と、和牛のヒレ肉を使った「極上カツサンド」の2種類から選べ、どちらもしつこさのない上品なカツサンドとなっております。京都散策の折にはぜひお忘れなく、こちらへ。
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◆ 肉専科 はふう 本店

住所/京都市中京区麩屋町通夷川上る 笹屋町471-1
営業時間/11:30~13:30(L.O.) 17:30~21:30(L.O.) 
定休日/水曜日
予約・お問い合わせ/☎︎075-257-1581

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温故知新の技が効いた洋食ビーフカツサンド

◆ 目白 旬香亭

旬香亭ビーフカツサンド
あか牛のビーフカツサンド 3,240円(税込)。テイクアウトはご要望に応じてキャベツorレタスも追加可能 3,132円(税込)
目白といえば、皇族の方などが通う学習院があることでも有名ですよね。この閑静な街にミシュランガイド東京2017の「ビブグルマン(従来の星の評価からは外れるものの、5千円以下のおすすめできる店舗)」にも選ばれた洋食屋さんがあるってご存知でした?

駅前にあるTRAD目白の2階に店を構えるのがこちらの「旬香亭」。この名前を聞いて、あ!と思った人もいるはず。以前赤坂にあった有名店「旬香亭グリル」で、フレンチ出身の鬼才・斉藤元志郎シェフの右腕として活躍してきた古賀達彦シェフが2014年に姉妹店としてオープンしたお店です。

まず、ご賞味いただきたいのはあか牛のビーフカツサンド。厚切りカツはレアに調理されているためジューシーで柔らかく、黒毛和牛などに比べてサシが少な目なので、冷めても油っぽさはゼロ。さらに野菜の甘みがほのかに残るコクのある甘辛ソースが一面にかかっていて、食べているそばからドンドン食欲が刺激されてしまいます。からしバターを塗った厚みのあるトーストは肉の厚さと好バランス、キャベツはガストロバック(減圧加熱器)でシャッキシャキ、その計算しつくされた調理によってひとくちごとに至福が広がります。お見事!
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◆ 目白 旬香亭

住所/東京都豊島区目白2-39-1 トラッド目白2F
営業時間/11:00~14:00(L.O)、17:00~22:00(L.O)
定休日/月曜日(但し、祝日の場合は営業)
予約・お問い合わせ/☎︎03-5927-1606

銀座で愛される大阪の老舗店ビーフヘレカツサンド

◆ 新世界グリル 梵 銀座店

「ハーフ」、または「一人前」。あ、これしかないんです、メニューが。こちらは大阪・通天閣のお膝元の新世界にある創業70年を超える洋食店の重鎮「グリル梵」が、9年前に東京初出店したカツサンドイッチの専門店。なので、お店のメニューにはこの二種択一しかありません。ですが、瞬く間に評判となり、“ヒレカツサンドと言えばココ”の代名詞を獲得。ちなみに大阪ではヒレ肉をヘレ肉と呼ぶことから、こちらでは“ビーフヘレカツサンド”が正解です。

さてそのヘレカツサンド、注目したいのは断面の“カツ(刮)”目。美しいピンク色にホレボレします。厳選した豪州産の牛ヒレ肉の赤身部分を大きくカットし、パン粉をしっかりつけてさっと揚げ、キレイなミディアムレアに仕上げています。しかも赤身肉と言っても、スジや余分な脂を丁寧に取り除いているので、口当たりはあっさりとしていながらも、楽に噛み切れるほど柔らかくてジューシー。ソースはさすが洋食店と言うだけあって、鶏ガラをベースに玉ねぎやセロリ、リンゴにメロンなどを1週間煮込んだこだわりのもの。デミグラスソースのようにコクが深く、衣にも薄めのトーストパンにもしっとり染み込んだ三位一体の味わいは、そりゃもう格別です!

一人前を気になるあのコと仲良く分け合うのも楽しいですが、昨今の肉食女子には、ひとり一人前をご用意するのが礼儀かと(笑)。
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◆ 新世界グリル 梵 銀座店

住所/東京都中央区銀座7丁目14-1
営業時間/11:00~21:00(売切れの場合、早めに閉店)
定休日/日曜日・祝日
予約・お問い合わせ/☎︎03-5565-3386

超厚パストラミビーフが身上のサンド

◆ The Good Vibes

自家製パストラミサンド
自家製パストラミサンド 1,200円(税込)
これってバーガー?しかも、極厚って? では、まずお料理の名前から。The Good Vibesのスペシャリテ、「自家製パストラミサンド」です。そう、パストラミビーフといえば薄くスライスしているのが相場というものですが、こちらは超がつくほどの厚切り。

そのおいしさだって規格外。パストラミが完成するまでに約5日間かかっています。 牛の肩バラ肉を、塩とスパイスに漬け込むこと4日間。その後、煮込みに4~5時間、特製のミックスハーブをまぶしてから桜チップでさらに4時間燻製。ほろほろと崩れるほど柔らかくなったパストラミを大胆にも3枚、さらに、飴色に炒めたあま〜い玉ねぎやキャロットラペ、みずみずしいフレッシュレタスを重ね、酸味がほどよいマスタードソースを塗って、表面をこんがりと焼き上げたふわっふわのバンズでサンドして完成。

しかもオーダーが入ってからパストラミを焼き上げるので、これでもか!というほど肉の味わいが凝縮されています。お腹にガツンとくる食べ応えはあるものの、新鮮な野菜も一緒にいただけるのでどこか優しさのある満腹感に浸れます。

夜の営業は一品料理やアルコールも楽しめるのでビストロ利用もおすすめ。冷えたビールと、自家製パストラミサンドのペアリングは間違いありません!
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◆ The Good Vibes

住所/東京都台東区浅草橋5-4-2 横山第二ビル
営業時間/11:30〜16:00 、18:00〜21:30(L.O)
定休日/日曜日・祝日
予約・お問い合わせ/☎︎03-5829-6815

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