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2026.10.11

【第107回】 黒部名水ラーメン誕生への道(前編)

黒部峡谷トロッコ電車の始発駅で食べた「富山ブラックもつラーメン」の味は?

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

BY :

文/山本益博
CREDIT :

写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食しつつラーメンの最前線をリポートする連載。今回は富山県黒部市のトロッコ電車始発駅で食べたブラックもつラーメンについてのお話です。

黒部峡谷トロッコ電車の始発駅で食べた「富山ブラックもつラーメン」のお味は?
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トロッコ電車の始発駅構内に富山ラーメンを出すレストランがあった

富山へ出かける時、とても頼りになる、私とほぼ同年齢の友人が黒部にいる。富山の山奥の利賀村にある評判高いオーベルジュ「レヴォ」へ向かうにも、氷見の超人気ラーメン「貪瞋痴」へ出かけるのにも、クルマで連れていってくれる。


もう20年来の付き合いで、きっかけは高速道路のサービスエリアにあるレストランの料理コンクールだった。高岡のホテルの総料理長だった彼は、サービスエリアのレストランでも素敵な料理を出していて、コンクールで優勝した。その時の審査員のひとりが私だった。今は、それも退職され、「食」関連の監修などの仕事をされている。

この夏、富山と金沢に用事があった私は、彼に連絡して、出発を早めて、富山の1日を彼に預けた。すると、黒部でどうしても食べてもらいたいラーメンがあるのだという。

黒部峡谷トロッコ電車の始発駅で食べた「富山ブラックもつラーメン」のお味は?

▲ トロッコ電車の始発駅「宇奈月」。

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北陸新幹線の「黒部宇奈月温泉」駅に11時頃来てくれないか、という。ラーメンを食べてもらってから、黒部峡谷鉄道、通称「トロッコ電車」に乗りましょう、という提案だった。


当日、駅まで迎えに来てくれたクルマに乗ると、行き先も言わずに走り出した。そして、食べてもらいたいラーメンは、トロッコ電車の始発駅「宇奈月」の構内にある「レストイン黒部」というレストランにあった。

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彼が考案し、試食させてもらったラーメンは「富山ブラックもつラーメン」。ご存知富山のラーメンといえば、スープが真っ黒の「ブラックラーメン」、これに「もつ」をいれて一工夫加えたラーメンに仕立て上げたものだという。

黒部峡谷トロッコ電車の始発駅で食べた「富山ブラックもつラーメン」のお味は?

▲ 「レストイン黒部」の「富山ブラックもつラーメン」。

ひと口食べたものの、感想が思いつかない。そう、この夏、長野県茅野市原村にある「Beef & Noodles然」で「すじそば網焼タン」をいただいたが、丼一杯具が贅沢に盛り付けられているほどには、味わいは豊かにはなっていなかった。

黒部峡谷トロッコ電車の始発駅で食べた「富山ブラックもつラーメン」のお味は?

▲ 「レストイン黒部」の「ブラックラーメン」。

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それをそのまま、伝えるしかなかった。さて、どうしたものかと思案しているうちに、あることがちらついた。「水」である。ラーメンを食べる前に飲んだ、店にあるセルフサービスの水が、とても美味しかった。そのことを伝えても、地元の人は当たり前すぎて、なんとも思わない。

 黒部峡谷トロッコ電車の始発駅で食べた「富山ブラックもつラーメン」のお味は?

▲ 「Beef & Noodles然」の「すじそば網焼タン」。

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新幹線に乗車して、ご存知の方もいるかと思うが、「黒部宇奈月温泉」駅あたりの山肌に「名水の里  黒部」と書かれた大きな看板が目に入る。いつだったか、黒部の町中で「名水」ツアーをしてもらったことがあった。この「名水」を使ったラーメンはどうだろう、と考えたのだ。


「もつラーメン」の感想に少々がっかりしていた彼は、突然目が輝きだした。「やってみましょう!」。ラーメンのスープは、鶏ガラより豚骨より、なにより水が命ではなかろうか。


「試作品が出来上がったら、いち早く駆けつけますので、ご連絡ください」


というわけで、「黒部名水ラーメン」の誕生、とても楽しみです。乞うご期待!

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山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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