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2022.09.17

1本60万円!? 海外で「日本酒」が激売れしているのを知ってますか?

若者のアルコールとくに日本酒離れ、手軽な缶入りチューハイやサワー類が増え日本酒消費エリアを侵食、高齢化で日本酒ヘビーユーザーが減少など低迷する日本酒市場ですが、2021年の輸出数量・輸出金額が過去最高を記録しました!

CREDIT :

文/友田晶子(一般社団法人日本のsakeとwineを愛する女性の会代表理事)

記事提供/東洋経済ONLINE
日本酒の国内消費が冷え込む中、2021年の輸出数量・輸出金額が過去最高を記録したことをご存じでしょうか。

とくに高級酒の消費の伸びが目覚ましく、それを受けて日本国内でも日本酒が再注目されつつあります。
1本60万円!? 海外で「日本酒」が激売れしているのを知ってますか?
▲ 「SAKE HUNDRED」の「百光」(画像:公式HPより)。

海外でのブームの火付け役は「十四代」や「黒龍」

今までワイン派だったけれど今一度飲んでみよう、最近飲んでいないがもともと好きだったことを思い出した——といったふうに、興味を持つ人が増えてきているように感じます。

世界的にアルコール離れが進む中で盛り上がる日本酒ブーム。振り返れば、海外での日本酒ブームの火付け役は、「十四代」や「黒龍」といったプレミアム価格のものでした。

「十四代」は、画一的な吟醸淡麗系の日本酒ばかりの時代に米の酒らしい旨味を前面に、影響力のある酒販店とともに販売展開することでプレミアム化に成功し“平成の幻の酒”としての地位を確立しました。

「黒龍」は、平成元年(1989年)に「石田屋」を発売しています。当時でも1万円(720㎖)という価格。日本酒は安価なものという常識を覆した高級日本酒のはしりです。2018年には業界初の試みとなった、ヴィンテージ違いの熟成酒セットをバイヤー向けに入札販売するなどチャレンジも目を引きます。

海外の富裕層にはこういった蔵情報に加え、「高い酒はいい酒」という独自の判断基準をもとに、金額に糸目をつけず購入する動きもあり、オークション的に、プレミアム価格の高騰に拍車をかけています。

北京の高級ホテル内の和食店では「梵 夢は正夢」(加藤吉平商店)が15万円に値付けされていました。日本価格は1万1000円(税込)なので10倍以上。ネームバリューや希少価値があれば、日本国内価格の何倍にもなりえる例でしょう。

ドバイで1本60万円といわれるのが「夢雀」。山口県の堀江酒場と同県のベンチャー商社「Archis」が製造販売しています。国内での価格は新しいヴィンテージで8万8000円。飲んだことがない筆者には香味を紹介できませんが、1本60万円とははたしてどんな味わいなのか興味は尽きません。

最近国内で注目を集めているのは、ネット上での広告を見ない日はない「SAKE HUNDRED」でしょう。「心を満たし、人生を彩る、100年先まで光照らすように」というブランドパーパスをもつ「SAKE HUNDRED」は、“プレミアム”の上をいく“ラグジュアリー”というあらたな日本酒カテゴリーを打ち出し、高級日本酒の大注目株となっています。いくつかある商品のなかでもメインとなる「百光」は3万8500円。
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1本60万円!? 海外で「日本酒」が激売れしているのを知ってますか?
▲ 「SAKE HUNDRED」の「百光」(画像:公式HPより)。
現在はネット販売のみで、予約開始から3日で完売となったという人気です。ネット広告のみならず人気若手俳優の村上虹郎さんをコンセプトフィルムに迎え、精力的なPRを行っています。

ロマネコンティを思わせるようなラベルデザイン、「白桃のような味わい」というわかりすい香味表現もイメージアップの重要な要素です。日本酒ってこんなにかっこよかったんだと思える販売戦略で、新たな市場開拓につながっています。「獺祭」以降の大きなニュースではないでしょうか。

商品の価格設定は最も安価な 「天彩 -AMAIRO-」が500㎖で1万5400円円。最も高額な「現外 -GENGAI-」は500mlで22万円。

日本酒720mlの一般的なボリュームゾーンは1500円弱~2000円程度なので10倍~150倍の価格になります。

おすすめの日本酒4選

さて、ここで筆者おすすめの日本酒をご紹介します。

【1】 SAKE HUNDRED 百光 720㎖ 3万8500円
本文でも紹介した注目株。味わってみる価値はあるだろう。

【2】 超特選 純米大吟醸 残響 Super7 720㎖ ネット価格3万3000円
伯楽星のプレミアムミアムライン。精米歩合7%。

【3】 梵 超吟 720㎖ 1万3000円
国内外で熱狂的なファンを持つ銘柄。海外でプレミアム価格として取引される商品。

【4】 TOKYO PREMIUM SPARKLING SAKE 心 -Shin- 730㎖ 1万9800円
東京産の原料を使い、ソムリエのアッサンブラージュとシャンパーニュ(瓶内二次発酵)方式で生み出されたプレミアム・スパークリング日本酒。製造は、東京で400年以上の歴史を持ち、明治神宮、神田明神のお神酒をお納めする豊島屋本店と(一社)SAKE女の会。

そのほかにも、次のような商品が人気高級ブランドとして知られています。

旭酒造
【獺祭 磨き その先へ】
 3万円

勝山
【ダイヤモンド 暁】
 3万円
【ダイヤモンド 䴇】 5万円

楯野川
【純米大吟醸 光明】
 10万円

黒龍
【無二シリーズ】
 11万円〜50万円(販売店、ヴィンテージにより異なる)

ヤヱガキ酒造
【栄雅 純米大吟醸】
 3万円

新澤酒造
【超特選 純米大吟醸 残響 Super7】
 3万円前後
【NIIZAWA KIZASHI 純米大吟醸】化粧箱入り 4万円
【NIIZAWA 純米大吟醸】 6万円(最も若いヴィンテージで)
【零響 -Absolute 0-】 35万円    

(いずれも「2022年上半期時点での価格」)

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売れる高級酒に共通する特徴とは?

これらいずれも、高級クリスタルや伝統工芸の陶磁器、チタンやすず製など、いわゆるありがちな高価な入れ物のために高額になっているわけではありません。では、高級になるための特徴とは何でしょうか。

スペック的には、「極めつきの低精米歩合=たくさん削った米であること」「吟醸酵母を使用していること」「純米であることと」「熟成させていること」。

香りや味わい的には、「ナチュラルで華やかな香り」「透明感のある味わい」「健全な熟成感」。

スタイリング的に、「おしゃれでワイン的な外観」「ラベルにある商品名は英語名やカタカナ名」「ラベルにある商品名はあえて漢字」でしょうか。

これらにプラス、造り手や商品のオリジナリティーやコンセプトがしっかりと付加されています。

スペック数値では測れない付加価値がこれからますます重要視されるはずです。ただその付加価値をどうつけるかが大きな課題。

日本酒をより高級化するためには、ワインにあるような明確な格付けやフランスのAOC(原産地統制呼称法、EUではAOP)のような制度が必要です。そのお酒の原産地らしい個性が明確に感じられる商品であり、それをしかるべき機関が保証してくれる制度です。

現在、GI(地理的表示保護)制度により、日本酒は、GI白山、GI山梨、GI日本(!)などが認定されています。

地域名はいずれも銘酒の産地とわかりますが、水は微細な違いしかないことが多いですし、ほかの地域産の米の使用もOKですので、ワインのAOCのような「限られた産地としての個性の明確な言い切り」がやりにくいという課題があります。

なにより、日本酒は原料というより、技術由来で生まれる香味特徴として優位ですから、産地別の特徴や違いを打ち出しにくいのです。

外国人はもとより日本人にさえ、いえ、日本酒愛好家にさえ、その違いが見分けにくいという商品特性が悩ましいところです。

こうした香味だから高い、こういう香味だから安いとは、区別しにくい。だからどうしてもスペック優先、数字優先になってしまうのです。

「熟成」以外の価値基準も今後は必要

言い切れるのは、同じスペックでも「熟成」です。ワイン世界もウイスキー世界も熟成が価値基準の大きなウェートを占めており、判断しやすいためです。

ちなみに、7社の蔵元からなる一般社団法人刻SAKE協会が2022年4月に発売した「特別ブレンド樽後熟【刻の奏】」は、720㎖4本セットで80万円。10年以上常温保存した3種と冷蔵保存した4種をサントリー名誉チーフブレンダーの輿水精一氏がブレンド。その後「山崎モルトウイスキー」の樽にて2カ月後熟させた逸品です。

熟成以外でも、この味わいだから高いと言い切れる“何か”が必要だと考えます。手に入らないという希少性だけでは、世界へ向けての高級路線もいずれ頭打ちになってしまうかもしれず、その何かを考案できるかが今後重要になるはずです。

(国内外の日本酒の市場動向について分析した前回記事:過去最高!高級日本酒がじわじわ売れ始めたワケ
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です

日本酒をもっと知るならコチラも

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