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2026.10.16

【限定公開】ブシュロン約170年の歴史を紐解く回顧展をニューヨークで開催。歴史を重ねても、進化を忘れない男でありたい

パリの老舗ハイジュエラー「ブシュロン」が、ニューヨークのオークションハウス「クリスティーズ」で回顧展を開催中です。メゾンの歴史を紐解くとともに、時代を超えて受け継がれてきた革新の精神を伝える本展。歴史に安住することなく、進化を続けるその姿勢は、まさにオヤジの美学にも通じるものです。

BY :

文/菅 礼子 (Reiko Suga)
CREDIT :

写真/BOUCHERON

珠玉の名品約80点がニューヨークに集結

【限定公開】ブシュロン約170年の歴史を紐解く回顧展をニューヨークで開催 歴史を重ねても、進化を忘れない男でありたい

パリのヴァンドーム広場に本店を構えるハイジュエラー「ブシュロン」が、ニューヨークのオークションハウス「クリスティーズ」で10月18日までの期間限定で回顧展を開催中です。 「ブシュロン」は、独創的な素材使いや常識にとらわれない技術を追求し、ジュエリーの可能性を常に広げ続けてきたメゾン。今回の回顧展「Boucheron: In Focus – A Monograph of a Visionary」では、歴史的な名品と現代の作品など約80点を通して、約170年にわたるメゾンの歴史と、今なお進化を続けるクリエイションにスポットを当てました。

【限定公開】ブシュロン約170年の歴史を紐解く回顧展をニューヨークで開催 歴史を重ねても、進化を忘れない男でありたい
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会場となったのは、ニューヨークを代表するオークションハウスの「クリスティーズ」。ブシュロンがニューヨークに初のブティックをオープンしたのは2024年と、実はつい最近のこと。とはいえ、アメリカとの関係は創業からわずか7年後の1865年にまでさかのぼります。当時からアメリカの顧客との関係を育んできたというから、アメリカとの歴史はなかなかのもの。


さらに今回の回顧展では、7月に発表された最新の「カルト ブランシュ」ハイジュエリーコレクション「HUMAN BEING」もアメリカで初公開。過去の名品だけでなく、メゾンの現在進行形のクリエイションに触れられる貴重な機会となりました。

創業者フレデリック・ブシュロンがインスピレーションの源としていた自然をテーマにした『NATURE』の展示

▲ 創業者フレデリック・ブシュロンがインスピレーションの源としていた自然をテーマにした『NATURE』の展示。

1879年にフレデリック・ブシュロンが考案したデザインを受け継ぐ「クエスチョンマーク ネックレス」。留め具がなく、女性が一人でも身に着けられる革新的な構造が特徴

▲ 1879年にフレデリック・ブシュロンが考案したデザインを受け継ぐ「クエスチョンマークネックレス」。留め具がなく、女性が一人でも身に着けられる革新的な構造が特徴。

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4つの世界観から読み解くメゾンの真髄

本展の特徴は、約170年の歴史を年代順に振り返るのではなく、メゾンのアイデンティティを形づくる4つのテーマ「アルシテクチュール(建築)」「ナチュール(自然)」「クチュール(服飾)」「イノベーション(革新)」に分けて展示していることです。歴史的な名品と現代のクリエイションを対比することで、時代を超えて受け継がれてきた美学や革新の精神が浮かび上がってきます。


「アルシテクチュール(建築)」では、パリの建築がブシュロンのクリエイションに与えた影響を紹介しています。1925年に制作されたアールデコ様式のブローチと、その約1世紀後の2021年に現クリエイティブ・ディレクターのクレール・ショワンヌが発表した「ラヴァリエール ディアマン」ネックレスが並び、幾何学的な造形美が時代を超えて受け継がれていることを物語ります。


「ナチュール(自然)」では、創業者フレデリック・ブシュロンが愛した、手つかずの自然や動植物の生命力をジュエリーで表現した世界が広がります。1924年に制作された枝をモチーフにしたティアラと、現代のアイビーモチーフの「クエスチョンマーク ネックレス」が、自然を驚くほど精巧に再現するメゾンの職人技を物語ります。


ちなみに、この「クエスチョンマーク ネックレス」は、1879年にフレデリックが考案した革新的なジュエリーとして知られています。当時、ハイジュエリーと言えば、重たく、着脱には人の手を借りる必要がありました。しかしクエスチョンマークネックレスは留め具をなくすことで、女性が一人でも身に着けられるデザインを実現したのです。つまり、「ジュエリーに人が合わせるのではなく、ジュエリーが人に合わせる」という、当時の常識を覆す発想。そんな自由な精神も、今なおメゾンに受け継がれているのです。

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「クチュール(服飾)」では、織物商の息子だったフレデリック・ブシュロンのルーツに注目しています。まるでテキスタイルのようなしなやかさをゴールドで表現した1959年のリボンモチーフのネックレスと、6通りの着用が可能な2026年の新作。時代の異なる2つの作品を通して、ジュエリーを身体に寄り添うものとして捉えるメゾンの哲学が伝わってきます。


そして、メゾンの真骨頂ともいえるのが「イノベーション(革新)」です。2025年の「カルト ブランシュ」コレクション「インパーマネンス」では、最先端の3Dプリント技術や、光をほぼ吸収する特殊素材「ベンタブラック🄬」などを採用。さらに、本物の花を結晶化させた「フルール エターナル」や、産業廃棄物から生まれた素材を使用したブローチなど、従来のハイジュエリーの常識を覆す発想のクリエーションの数々が並びます。宝石の希少性だけにとらわれず、意外性のある素材使いや、素材そのものの価値を問い直すメゾンの姿勢には、思わず唸らされます。


さらに注目したいのが、2026年7月に発表された「カルト ブランシュ」の最新作 「HUMAN BEING」 のアメリカ初公開です。今回ショワンヌが着目したのは、宝石でも自然でもなく、「人間」という存在そのものでした。5つのネックレスとリングからなるジュエリーセットは、共通のフォルムを持ちながら、それぞれ異なる素材や技法で制作されています。人間に共通するものと、一人ひとりを唯一無二の存在にする個性や違いを、ハイジュエリーで表現したというわけです。

革新的な素材使いや最先端技術を駆使したジュエリーが並ぶ「イノベーション」の展示スペース

▲ 革新的な素材使いや最先端技術を駆使したジュエリーが並ぶ「イノベーション」の展示スペース。

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時代を超えて共鳴する2人のクリエーション

19世紀にメゾンを創業したフレデリック・ブシュロンと、2011年からクリエイティブ・ディレクターを務めるクレール・ショワンヌ。生きた時代こそ違えど、2人のクリエイションには共通する哲学が息づいています。それは、既成概念にとらわれず、ジュエリーの美しさや価値を常に問い直す姿勢。約170年の歴史を持ちながら、伝統を守るだけでなく、時代に合わせて再解釈し、新たな価値を生み出し続ける。その飽くなき探究心こそが、メゾンの革新を支えているのでしょう。いくつになっても進化を忘れない。そんな男でありたいものです。

【限定公開】ブシュロン約170年の歴史を紐解く回顧展をニューヨークで開催 歴史を重ねても、進化を忘れない男でありたい

■ 回顧展「Boucheron: In Focus – A Monograph of a Visionary」

● 菅 礼子 (すが・れいこ)

LEON編集部で編集者として勤務し、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住、LEON特派員。Instagram @sugareikoにてニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆している。







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