【徹底討論】 スーツが売れない時代にメゾンブランドのスーツが好調な理由とは!?

巷では「スーツが売れない」と言われています。でも小誌は「ビズなスーツはそうかもしれない。けれど、モテるスーツは絶好調！」と確信します。なぜって、時代の流れに敏感なメゾンはいま、こぞってスーツに注力しているから。その辺のところをスーツ好きの5人が徹底討論しましたよ。

石井 洋（編集長)、堀川正毅（副編集長）、 鈴木賢二（副編集長）、武田一希（編集部員）、 四方章敬(
スタイリスト）

鈴木 スーツ好きの皆さ〜ん、こちらに集まってくださ〜い。 
石井 どうした？ すーさん、急に。 
堀川 特集のネタを考えるにあたって、いまのスーツの流れをヒアリングする会らしいですよ。 
武田 おっしゃるとおりです。せっかくなので、今回特集を担当するスタイリストの四方さんにも参戦していただくことにしました。 
四方 いや〜。「スーツが売れない時代」なんて言われるこのタイミングでのスーツ特集。相変わらず攻めてますね、LEONは。 
石井 だってスーツ特集の号は反響が凄いからね。いまやスーツ＝LEONみたいにファッション業界＆読者の方々が期待してくれていることを鑑みると、そこを避けて通るわけにはいかないっしょ？ 
鈴木 ですね。というわけで、モテるスーツの今後を占う座談会にしたいと思ったわけです。

リラックスムードが流れる昨今のファッションシーンにおいてクラシックなスーツの復権は、ある意味その反動ともいえるもの。ただし、昔のソレとは若干異なり見た目シックにして着心地は快適、という進化を遂げています。

堀川 今すーさんがサラリと表現しましたけど、“モテる”という枕詞がつくことが大切な気がするなぁ。四方ちゃんが言ったとおり、仕事着としてのスーツの市場は、クールビズやビジネスウエアの解釈の広がりにともなって、いまは縮小傾向にあると思いますからね。 
四方 確かに。でも、男性を一番魅力的に見せるのがスーツという解釈は、いまも大半の共通認識としてありますよね？ 
武田 ボクも普段はチャラいと言われますが、スーツだと「ちゃんとしてるね」って評価されます。 
石井 ……。武田のスーツがちゃんとして見えるかは別として、確かに四方ちゃんが言ってくれたように、大人の男を一番魅力的に見せてくれるのがスーツ、という解釈は依然変わっていないと思う。 
堀川 特に今季のコレクションでは、パリ、ミラノともにこれまで以上に各メゾンがスーツに注力しているように見受けられました。 
石井 確かにそうだね。これは一時期ストリートに傾倒した反動ということもあると思うけど、それだけでもないような気も……。

仕事着としてのスーツに対して逆に休日着としての需要が上昇。 そんな流れを受けて各メゾンブランドがリラックスして着られるスーツを提案しています。だからこのジャンルはいまこそ選びたい放題なのですよ。

武田 凄く興味深いですね、その話。もっと詳しくお願いします。 
石井 なんていうか……。いまって世界情勢が不安定じゃない？　だからそこに安定感を求めたくなった結果というか……。 
武田 ふ、深い……。 
鈴木 う〜ん。「スーツを着ている男性に安心感を覚える女性が多い」って換言するとわかりやすいかもしれないですね。 
堀川 さすが頭脳明晰なすーさん。それ、わかりやすいですね。 
石井 そうだね。不景気になると定番という変わらない魅力を備えたものがよく売れる、みたいな。 
一同 なるほど〜。

ラペルド型のジャケットにスラックス型のパンツというスーツの基本の型を破りデザイン性の高い一着がリリースされているのも今シーズンならではの特徴です。

四方 そういう流れを受けてスーツに各メゾンブランドが注力した分、ベクトルの違いが明確になったのも今季の特徴ですよね？ 
堀川 そう。クラシック回帰をするメゾンもあれば、コンフォートに着目するところもあるし、スーツの概念を広げるデザイン性の高いスーツなんかもあったよね。 
武田 着こなしの幅がこれまで以上に広がったのも新鮮な感じです。 
四方 自由度が増すのってスーツ好きとしてはうれしい流れ。 
石井 う〜ん。そうなってくると、ますますモテるスーツのニーズは高まりそうな予感が。 
一同 う〜ん。今シーズンはどんなスーツを新調しようか、本当に悩ましいな〜。

「スーツはタイドアップすべし」的教条主義が横行したのもいまは昔。 最近では、軽やかな作りのスーツが増え、さらに着流しスタイルが市民権を得たことで着こなしの自由度もより一層広がりつつあります。