2017.10.24
メルセデスAMG GTでドリフトをキメる最高の旅【後編】
毎年冬になると、各自動車メーカーは独自のプログラムとして雪上もしくは氷上の走行体験プログラムを開催している。今年初春、イタリアのシューズブランド、サントーニの社長ジュゼッペ・サントーニに招かれ、『メルセデスAMG ドライビングアカデミー』に参加した。
エコノミークラスで運べるだけの自社製シューズをトランクに詰め込んで、世界中を回ったそうだ。事業が拡大してもその姿勢は変わらなかったそうだが、そうして手に入れたのは「時間そのもの」だという。
懸命に働いたら、懸命に遊ぶんだよ
ここで少々話をジュゼッペ・サントーニに移す。彼はカートをはじめクルマとスピードに熱中し、夏は故郷でありサントーニ本社のあるマルケ州コッリドーニア(海と丘に囲まれたイタリア屈指の風光明媚な街)の海を楽しみ、冬はスイスのサンモリッツにある別荘でスキーに興じ、家族と仕事を何よりも大切にしている。それは我々日本人が思い描く理想的イタリアンライフスタイルだ。
その重要な余暇の時間のひとつが、大好きなクルマで氷の上を走ることなのだそうだ。毎年このプログラムにも参加していて、今回は冬休み中の息子のガブリオくんを伴ってご満悦だった。
ドライビングシューズはもちろん、ファッショナブルなマウンテンブーツ、カーボン柄があしらわれたラゲッジコレクションなどは参加者たちが宿泊するロッジに展示され、ロシアやドイツからの参加者たちの興味を引いていた。
とにかく走る!無線からは「GAS!GAS!(アクセルを踏んで!)」
今日はいくつ穴を開けられたんだい?
プログラム中、参加者は皆、首からライセンスカードを下げるのだけれど、これはミスポイントのチェック用。冒頭でも書いたが、氷上に作られたコースを仕切るのバリアは掻き分けられた雪。ゆえにクルマが少々突っ込んだところでクッションになってくれはするようにできている。
が、いくらスパイクタイヤを履いているとはいえ、乗り上げた雪から自力で脱出すのは不可能というもの。無線でヘルプを呼ぶとメルセデスが誇る頑強なゲレンデヴァーゲンが引っ張り出してくれるという算段だ。この時、提示するのがそのカード。
一回ヘルプしてもらうたびに、バンチで穴を開けられる。これが参加者たちの恰好のコミュニケーションにもなっていて、今日はいくつ穴が開いたかと一日の終わりに笑い合う。
思い切りアクセルを踏みに来たんだから、遠慮はいらない
彼はとにかくアクセルを緩めることが大嫌い。バンチの穴を見ては笑い飛ばしながら、「アクセルを踏みに来たんだから」とクルマを振り回す。それでもタムトライアルのようなピンポイントではしっかり結果を出すところがイタリア人なのか、優秀な経営者なのか。
残念ながら、コンマ数秒差で優勝は逃したものの、やっぱり遊びの達人は遊びに本気だった。
終始親子でドライビングについて語り合っている姿を見るに、懸命に働き、懸命に遊ぶことの大切さを教わった。
この冬も、『メルセデスAMG ドライビングアカデミー』はもちろん、各社から魅力的な“スノーエクスペリエンス”が用意されているはずだ。懸命に働いたご褒美に、懸命に遊んでみるのはいかがだろう。