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2019.10.04

自動運転技術の進化に対する期待と課題

BMWと日産の「手放し運転」機能は何がどう違うのか?

この夏、BMWは国内初となる手放し運転が可能となるハンズオフ機能をリリース。そして9月には日産がやはりハンズオフ機能付きの自動運転「プロパイロット2.0」をスカイラインに搭載した。ほぼ時期を同じくしてリリースされた2社の手放し運転機能の違いとは?

CREDIT :

中野 大樹(東洋経済 記者)

記事提供/東洋経済ONLINE
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MWの新型8シリーズに搭載されたハンズオフ機能(筆者撮影)
ハンドルのボタンを押し、手を放すとハンドルが勝手に回り始める。記者が前方から長時間視線をそらし続けると「ピーッ」と警告音が鳴った。

この夏、BMWは国内初となる手放し運転が可能となるハンズオフ機能をリリースした。高価格帯の新型8シリーズや新型X7シリーズのほか、同社では量販車種と位置づける新型3シリーズでも夏以降生産分には標準装備される。

実際にハンズオフ機能の搭載車種に乗ってみると、高速道路での渋滞時に、ブレーキやアクセル、さらにハンドル操作から解放され運転を楽に感じることができた。
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日産は高精度3Dマップデータを使用

日産自動車も9月にハンズオフ機能付きの自動運転「プロパイロット2.0」をスカイラインのマイナーチェンジに合わせて搭載した。渋滞時に限定せず高速走行全体で使用可能だ(一部複雑な道路除く)。ディスプレーを用いて車線変更や追い越しの提案も行う。ドライバーがハンドルについたボタンを操作し承認すれば、手を添えるだけで車線変更や追い越しが可能だ。
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先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載した新型「スカイライン」(写真:日産自動車)
BMWと日産ともに、周辺状況の把握という点においては、これまで単一距離を撮影するカメラと、精度は低いが広い範囲を感知できるミリ波レーダーを併用してきた。今回は両社とも距離や写る範囲が違う3台のカメラにミリ波レーダーを組み合わせた方法を採用した。

日産はこれに加えて高精度3Dマップデータを使用。周辺環境だけではなく、これから走る道路も把握することで車線変更や追い越し、非渋滞時の走行などが実現できるという。日産は高価格のハイブリッドモデルのみに搭載。対して、BMWは普及を目指し全グレードで標準装備、価格を抑えるために高精度3Dマップ導入を見送った。

今後、自動運転が進化するうえでカギとなるのが視線監視機能だ。運転中に手と足を放しても運転者の操作が必要な際に、すぐ操縦に戻れるよう監視するために搭載されている。冒頭のように視線を外すと警告を何度か行い、それでも視線が戻らない場合にはハザードランプを点灯させて停車させる。
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BMWの新型3シリーズにも夏以降の生産分にハンズオフ機能が搭載されている(記者撮影)
これは、ハンズオフ機能時には操作なしでも車が進むため、注意が低下するのを防ぐ目的がある。2016年には国土交通省が現状の自動運転機能は、あくまでも運転支援機能だと警告を発している。運転支援の側面から見れば、視線監視など安全面の強化は非常に重要だ。

この視線監視については、BMWがハンズオフ中のみ視線を戻すように警告を表示するのに対し、日産は走行中常時監視し、警告を表示する。

また、BMWは渋滞時の前車追従も自動で行うが、日産自動車は30秒間停車した場合には、運転手が発進を指示しなければ進まない。自動運転システムの開発を担当した同社の浅田哲也主管は「運転手とのコミュニケーションを大切にした」と語る。

両社の速度制限にも違い

速度制限も異なる。BMWのハンズオフ機能は時速60㎞以下と限定されているが、前走車との適切な車間距離を維持しながら追従走行し、ドライバーの運転負荷を軽減するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)では時速210kmまで出すことができる。一方の日産はプロパイロット2.0では道路標識を認識し、法定速度+10km以内に限定する。

そのほかの機能でも国内での制限速度で最も速い新東名高速一部区間の時速120kmを基準として、それ以下しか設定できないようになっている。ヨーロッパの制限速度が速いという事情はあるものの、あくまで運転者に責任があるという前提の下、どこまで許容するかというスタンスの違いも垣間見える。

技術を普及させるためには、ある程度価格を抑える必要がある。運転者に責任がある中で、どこまで運転者の監視に注力するのか。自動車メーカーは、安全性とコストのバランス感覚が問われている。
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です
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