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2019.04.29

【人気SUV】レンジローバーの新型イヴォークは、何が変わったのか?

本格クロカン四駆の老舗ランドローバーの進化を象徴したモデル「イヴォーク」。世界を驚かせたスタイリッシュなデザインはそのままに、正常進化を遂げた二代目の実力はいかに?

CREDIT :

文/小川フミオ

スタイリッシュさに磨きをかけて2世代目に進化

これからSUVを買おうと思っているなら、サイズとクオリティを考えよう。生活のなかで大きなサイズは不要、でも小さい=安っぽい、では自分の価値基準に合わない。そんなふうに思っているなら、新型レンジローバー・イヴォークがいいだろう。

英ランドローバーが手がけるレンジローバー・イヴォークの初代が登場したのは2011年だ。デザイナーが描いたスケッチをそのまま量産化したような、スタイリッシュなデザインが衝撃的だった。いま見ても新鮮さが薄れていない。

2018年秋に発表された新型イヴォークは、やはりかなり個性的で、デザインにうるさいひとなら目が離せなくなりそうな存在感がある。
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大きなタイヤの存在感を感じさせるスポーティなルックス
デザインテーマは、先に登場しているレンジローバー・ヴェラールとの距離の近さを感じさせる。全体に丸みを帯びたスタイリングが採用された。そのいっぽうで、後ろにいくにしたがい下がっていくルーフラインをはじめ、クーペのようなコンパクトさを持つキャビンで強いパーソナル性を感じさせる手法は継承された。

新型イヴォークに試乗したのは、2019年3月のギリシア・アテネだった。試乗会場はリゾートホテル「AMANZOE アマンゾイ」だ。エーゲ海をはさんでアテネ市内の対岸に位置し、ヘリコプターでホテルまでやってくるゲストが多いとか。ここを選んだことだけでも、ランドローバーの気合いの入れ方がわかる。

新型イヴォークの特筆点は、コンパクトなボディだ。全長は4・4メートルを切っている。国産車だとトヨタC−HRとほぼ同じで、マツダCX−5より小さい。メルセデス・ベンツAクラスよりもイヴォークのほうが全長が短い。

このサイズにこだわったのは、従来モデルのユーザーから「大きくしないで」という声が寄せられていたからだと、アテネで出会ったデザイナーや開発者たちが教えてくれた。キャビンのデザインテーマとサイズ。この2つが、他にない特徴となっているのも事実である。
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薄く見えるキャビンの造型は従来からのテーマを踏襲している
全長はほぼ不変だが、ホイールベースは20ミリほど長くなっている。もうひとつ、従来型を知っているひとに嬉しい驚きは、後席空間に余裕が出たことだ。ルーフラインは下がっているので乗り降りのときだけ少々気を遣うけれど、内部は意外なほど広々としている。大人ふたり充分くつろいでいられる空間だ。

パッケージングがよりよくなったのは、今回あらたに、エンジン横置きプラットフォームを採用したせいだ。昨今では歩行者保護やクラッシュセイフティの面からフロントのクラッシュエリアを伸ばすクルマが多いが、「内部構造を徹底的に見直すことで、いまのサイズを死守しました」と車両開発担当者は言う。

コンパクトだと書いてきたけれど、実車はかなり存在感がある。美しい曲面で構成されたボディは名人の手がけた工芸品のようで、そこに大径タイヤがはまり、しっかりと脚をふんばっているように見えるのだ(これを自動車デザイン用語では”しっかりとしたスタンス”という)。

もうひとつの魅力はインテリアである。クリーンな造型と、作りのよさと、他に類のない素材の使用で、高級SUVであるレンジローバーの世界観が受け継がれていると感じられるのだ。
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ブルーイッシュな白基調の内装はクリーンで、そこに艶のある「タッチプロデュオ」用モニターがはめこまれている
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こだわり抜かれた上質感とサイズ

ダッシュボードの造型はクリーンで、そこにTFT液晶モニターがはめこまれている。上級グレードには「タッチプロデュオ」という2画面を使うモニタ−コントロールシステムが用意され、エアコン、カーナビゲーション、オーディオ、ハンズフリーフォン、さらに車両の設定などがタッチで行える。

同時にイヴォークでないと手に入らない装備もあって、”いいもの”感が強い。その代表的なものがシート。もう少し厳密にいうと、シート表皮だ。レザーに加え、デンマークのクヴァドラ社が手がけたウール素材のものと、それに今回初というユーカリを使った合繊がとても感触がよい。

このクラスにはライバルが多いが、趣味性でいうと、イヴォークがダントツだと感じられるのは、こういうところの凝りかたである。4.4メートルとコンパクトなサイズで、いいもの感が凝縮している。他に類のないパッケージングだ。

充実した運転支援システムのなかには、オフロードの覇者ランドローバーならではの装備も含まれるのもよい。たとえば現時点でイヴォークにしか用意されていない「クリアサイト・グラウンドビュー」だ。カメラの映像を合成して車体下の状況も見せてくれる。
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「クリアサイト・グラウンドビュー」で車体の下の状況をチェックできる
「クリアサイト・グラウンドビュー」を作動させると、自車がどんな表面を走っているかリアルタイムでモニターに映し出される。岩場や穴だらけの道を走行するときを考えた機能だ。

オフロードで一定速度を維持してくれる「オールテレインプログレスコントロール」は急峻な上り坂で役に立つし、下り坂では急にブレーキペダルに載せた足の力を緩めても自動でブレーキを制御する「グラディエントリリースコントロール」が機能する。

ランドローバーのスタッフはアテネ近郊にオフロードを体験できるルートをたっぷりと用意してくれていた。おかげで、イヴォークは街乗り用のスタイリッシュなSUVだと思っていたが、じつはオフロードでもすごかったと再認識。実際に荒れた道へ好んで走りに行くかどうかはともかく、いざというときの備えがあるのはユーザー心理としては嬉しい、はずだ。

オンロードでは快適性が際立った。私は、48ボルトの電気モーターを使った「BiSG」(ベルトドリブン・インテグレーテッド・スタータージェネレーター)装備のMHEVを操縦した。

エンジンのトルクが充分に出ない1000rpm以下の領域を電気モーターでトルクを補うマイルドハイブリッドである。出足はスムーズで、エンジンへうまくつないでくれる。そのあとも気持ちよい加速が味わえるのだ。
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パッケージングが見直されてリアシートも快適(写真はユーカリ合繊のシート表皮)
オプションの21インチのタイヤを装着車に乗ったが、ゴツゴツ感はほとんど感じず、足回りはしなやかに動く。騒音レベルもとても低くて、やはりオプションなのだがメリディアンのスピーカーシステムが奏でる音楽を楽しむことが出来た。

英のメリディアンオーディオはホームオーディオの分野では(私の記憶では)“目を閉じたときそこにそのままの編成があると感じられる音楽の再生を目指す”をモットーにしていたブランドだ。つまり室内楽の再生が得意だった。

実際にかつてのランドローバー車ではおとなしめの音という印象があったけれど、新型イヴォークでは低音がしっかり出る元気のいいサウンドが印象に残る。ちゃんと今っぽい音源に対応している。なので車内にいると、とてもいい雰囲気のリビングルームでリラックスしているような気がしたほどだ。
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写真は「バーニッシュド・カパー」の飾りをもたない仕様(日本では「Evoque」仕様)
というわけで、市街地で乗るには、かなりいいかんじの相棒になってくれるであろうクルマなのだ。もてなし感も充分。適度に品がよくて、それでいてスポーティさもある。愛すべきキャラクターを持ったクルマだ。

日本でのラインナップも発表されている。ベース車種は「Evoque」(461万円〜)。そのうえに、よりスポーティな外観の「R-DYNAMIC」(602万円〜)が設定さている。期間限定で装備の豊富な「FIRST EDITION」(799万円)もある。

エンジンは2リッター4気筒が基本で、ガソリンは200馬力の「P200」、249馬力の「P250」、それに300馬力のマイルドハイブリッド「P300」が日本で販売される。加えて180馬力のディーゼルの「D180」が選べるのだ。「P300」は「R-DYNAMIC」のなかでももっとも装備が豊富な仕様「HSE」に搭載だ。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト


慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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