ここ数年、大躍進する中国市場を上手く取り入れたブランドが大きく成長してきましたが、政治腐敗を一掃するために贈り物の禁止が命じられると、ギフト需要が大きかった高級時計の売れ行きが一気に冷え込んだ。中国と香港を足すと、実に30%も売り上げ減となってしまったのです。
さらに原油安と紛争問題に揺れたロシアも30%以上売り上げを落としており、国際時計市場は大荒れの様相を呈しています。さらにスイスフランは今でも高騰傾向にあり、輸出品の価格が上がっているのも不利に働いています。
Bulgari [ブルガリ]
オクト・ヴェロチッシモ タキメーター日本限定モデル/118万円
Tag Heuer [タグ・ホイヤー]
タグ・ホイヤー コネクテッド/16万5000円
これは何を示すかというと、時計に目の肥えた人々が再び時計を買いはじめたということ。新興国のバブル紳士が好む派手な時計ではなく、本物を見る目をもった真正ゼンマイオヤジに響く時計が増えているとも言えるでしょう。
IWC [アイ・ダブリュー・シー]
右●アクアタイマー・オートマティック 2000/106万5000円
さらに各ブランドが自分たちの強みや歴史、伝統を活かして時計作りに邁進することで、長く愛し抜ける時計が増えているという点も好条件となりそうです。
機械式時計には手堅いモデルが増えそうですが、その一方でユニークな進化を遂げそうなのがスマートウォッチ。昨年末にタグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー コネクテッド」が登場したのを皮切りに、ブライトリングからもスマートフォンと連動する高機能ウォッチが誕生しました。
高級機械式時計ブランドのスマートウォッチの強みは、何よりも所有欲を満足させる品質とブランド力。もちろん高品質なケースやデザインも見逃せません。すでに正確な時間を知らせるという“時計としての機能性”は機械式時計よりも優れているのですから。
はたして2016年のゼンマイ事情はどうなるのか? そちらは今後ご報告いたします!
スタイリング/吉野 誠
文/篠田 哲生
協力/アフロ