2020.02.07

日常を輝かせる腕時計は、ドコが違う?

世界中のデキる男を魅了するロジェ・デュブイ。成功者たちは、一見奇抜に見えるそのデザインのどこに惹かれるのか? ブランドのキーマンにそのワケを聞いた。

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写真/トヨダ リョウ 文/篠田 哲生 

仕事もプライベートも常に日常を楽しむ男に選ばれているのが、ロジェ・デュブイの腕時計。創業25年ながら世界中にファンを持つ彼らの魅力は何か? そのキーマンである、プロダクト・ストラテジー・ディレクター、グレゴリー・ブルタンに話を聞いた。"時計で生活が輝く"そのワケはどこにあるのか……?

1995年に創業したロジェ・デュブイ。創業当初は、伝説の時計師ロジェ・デュブイ氏が技術面をサポートし、経営やデザイン面は、実業家のカルロス・ディアスが担当するというユニークな関係でスタートした。小さなブランドであったが、時計愛好家から絶賛され、自社製ムーブメントのクオリティの高さは業界内でも評価された。今では、ロジェ・デュブイというと華やかなビジュアルが話題になるが、実は“まずはムーブメントありき”の骨太な時計ブランドなのだ。

ブランド発足時点でかなり高齢だったロジェ・デュブイ氏は程なくして引退し、その代わりに技術面を取り仕切ってきたのが、グレゴリー・ブルタン。1977年生まれの彼は、時計業界ではまだまだ“若手”といえる。
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腕時計は、"人生を楽しむカギ"となり得る?

ロジェ・デュブイのプロダクト・ストラテジー・ディレクターを務めるグレゴリー・ブルタン。
「ロジェ・デュブイの強みは“楽しむこと”」。グレゴリー・ブルタンは断言する。

「ラグジュアリーな時計は、特別な時間を楽しむために存在しています。だからこそ我々も、楽しみながら時計を作るのです。さらにこの感情を分け合うためにイベントを開催し、ユーザーたちと世界観を共有しています。ロジェ・デュブイの時計というのは、“時計から始まる人生そのもの”を楽しむためにあるのです」

歴史的な名門時計ブランドは、時代を継承することを大切にしているが、ロジェ・デュブイは“時代の息吹”を作ろうとしている。その点ではファッションブランドに近い感覚かもしれない。

「もちろん、時計の製造技術はスイスの伝統を受け継いでいますし、品質を重視するという哲学は歴史あるブランドとも変わりません。しかし、そこに"ファンキーなスタイル"を取り入れるのです」
グレゴリー・ブルタンがロジェ・デュブイに入社したのは2002年のこと。彼はまだ25歳だった。

「当時はまだ小さなブランドで、ムーブメントの研究開発部門に配属されました。ジュウ渓谷の小さな研究所には4~5人しかスタッフはいませんでしたが、そこで数十というムーブメントを開発してきましたね。

2008年頃までは、手巻き式のクロノグラフムーブメントなどクラシックな設計のムーブメントが多かったのですが、それは“伝統的な時計作りが可能である”という主張でもありました。そして伝統的なムーブメントを使いつつ、ダイヤルやケースのデザインはモダンに仕上げる。こうすることでロジェ・デュブイらしい個性を作っていったのです」
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「エクスカリバー オートマティック スケルトン」自動巻き、18KPGケース(42mm)×ブレスレット。930万円/ロジェ・デュブイ
現代のロジェ・デュブイを象徴するのが、星形のアストラルスケルトンだ。ムーブメントと外装デザインの両方で、前衛的な個性を発揮するモデルが登場したのは、2008年のこと。

「星形のアストラルスケルトンを考案したのは、前例のない直線的なスケルトンムーブメントを作りたかったから。直線ブリッジの製造はかなり困難なのです。というのも、カーブしていたら、その円弧のラインに多少の誤差があっても目立ちませんが、直線だとその誤差がすぐに分かってしまう。そのため優れた技術を持ったブランドでなければ実現できないのです。

しかしロジェ・デュブイは、伝統的なムーブメントを作ることができる本格的な技巧派です。機械式時計を深く理解しているため独創的な再解釈が可能になり、現代的な時計を作る事ができるのです。独創性と技術で、古い時計業界にゆさぶりをかけるのが、我々の存在意義なのです」

ちなみに星形ブリッジのアイディアは、バイクのホイールを参考にしたそう。シンプルで繊細だが耐久性が高い構造であり、しかも美しい。それが決め手だったという。
「エクスカリバー ウラカン」自動巻き、 18KPGケース(45mm)、アルカンターラ×ラバーストラップ。730万円/ロジェ・デュブイ
「独創的な時計を作るためには、開発プロセスが重要です。現在はデザインとムーブメント設計を同時に進めることで、一貫性のある完璧なハーモニーを作っています。それが時計師出身である私の仕事ですね。

デザインとメカニズム、そしてブランド哲学の全てに一貫性を持たせること。例えばランボルギーニとのコラボレーションであれば、エンジンをイメージしたムーブメントを設計することで、物語が完成するのです」

ロジェ・デュブイの時計は、今を楽しむために存在している。だからと言って、ユーザーが求めるモノをリサーチすることはしない。

「むしろ、こんなことをすると面白んじゃないかな、という発想を重視します。例えば、新作の「エクスカリバー ブラックライト」は、ブラックライトで光る“夜遊びのための時計”ですし、ストラップやリュウズを簡単に変更できるシステムも考案しました。
つまり、特別なイベントや楽しい時間を作る、スタイルのある時計を作っているのです。ロジェ・デュブイは思ってもみなかった時計を作っている。腕元で驚かせる、でもセンスがいい。だからハズしの時計としても効果的なのです。例えば、スーツに合わせるなんて面白いと思いますよ」

ロジェ・デュブイの時計には唯一無二の個性があるが、そのバックボーンには確固たる技術力の蓄積がある。だからこそ他にはない時計が生み出されるし、デザインとの相関関係も揺るぎがない。

"新しい発想で古い価値観に揺さぶりをかける"ことは、現在のビジネスマンに求められる姿勢でもある。その志向を根底に持つロジェ・デュブイだからこそ、デキる男たちに認められる、ひと際明るく輝くスターブランドになれたのだ。

● グレゴリー・ブルタン

1977年スイス出身。エンジニアリングスクールで時計の技術と理論を学び、さらにロレックスやパテック フィリップでのインターンを経て2002年にロジェ・デュブイに入社。ムーブメント設計者としてキャリアを積み、ダブルトゥールビヨンなど“ロジェ・デュブイの顔”を開発する。2009年からはムーブメント開発部門のトップになる。

※掲載商品はすべて税抜き価格です

■ お問い合わせ

ロジェ・デュブイ 03-4461-8040

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