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2021.07.31

【第46回】

元ギャル美人起業家。本気で愛した30歳年上男性を超える男は現れるのか?

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。

CREDIT :

取材/林伸次 写真・構成/木村千鶴

「ワイングラスの向こう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」(バール・ボッサ)のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第46回のゲストは、デザイン会社を経営している愛さん(28歳)です。
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経験ありそうに知ったかぶりしてましたが、実はバージンでした

── こんにちは、本日お話を伺う林です。よろしくお願いします。早速ですが、ここではニックネームでお呼びしているんですけど、誰に似てるって言われますか。

「困ったな。一人だけよく言われる人がいるんですけど、男性なんですよ」

──  あ〜、これは男女ともに言えることなんですけど、綺麗な人って中性的な顔になるみたいですね。女性は男性っぽくなるし、男性は女性っぽくなるって。う〜んそうだ、透明感があって橋本 愛さんに似ている気がするので、今日は愛さんでいきましょう。愛さんはどんなお仕事をされているんですか。

「デザイン会社を経営しています」

── わ、凄い。20代ですよね!? するとずっとデザイナーの仕事をされていて、独立した感じですか?

「いえいえ。高校を卒業してからはキャバクラで1年くらい働きました。その後、夜の仕事は退職して、彼氏と同棲していた家で育てた植物でキャンドルの制作・販売をして……」

── 待って待って(笑)。なんか凄く濃い人生を送ってそうです。ちょっと気になることだらけなので順番に聞いていきますが、あの失礼だったらすみません。今の感じからは想像もできないんですが、もしかして、高校時代は悪かったとかですか?

「ギャルみたいな服装ではありましたね(笑)。でも初めての彼が出来たのも高3で、強がってましたけど、本当はウブでした。周りのみんなは初体験が済んでましたから、まだしてないってこと、隠してたんです。恥ずかしかったというか、なんかカッコ悪いって思っちゃってて」

── ええ〜〜、漫画みたいな話ですね。

「見た目がギャルっぽかったので、みんな私が知っているものだと思い込んでたんですね。だから、エッチな話にも『あ〜それね』って知ったかぶりしてたけど、実は経験してなかった(笑)」
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イケメンよりも自信なさげな男性にグッときます(笑)

── それは経験するチャンスがなかったんですか。周りがしていると焦ってしまい、初体験を済ませたという話もよく聞くし、可愛いからたくさんアプローチされたんじゃないかと思うんですが。

「女子校に行っていたというのもありますけど、なんとなく怖かったから」

── 怖いんですね。そのあたりの女性の気持ちって、男性にはあまり分からなくて、そうか、やっぱり怖いんだ。

「はい、だって痛いって言うじゃないですか。実際めちゃめちゃ痛かったし。たぶん女の子がセックスをいいなって思えるのって、何人かの人とかなりの経験を経て、ようやくなんじゃないですか? 若い頃はお互いに未熟ってこともあるけど、覚えたての頃、いいと思った記憶がないんですよね」

── そういうものかもしれませんね。初体験でその彼だったら許してもいいって思えたのは何故ですか。イケメンだったとか?

「私、イケメンはあまり得意じゃないんです。さっき“綺麗な人は中性化する”とおっしゃってた、まさにその通りで、顔が綺麗な人に対して男らしさを感じないんですよ。最近は男性も脱毛することが増えてますけど、それもちょっとイヤ。わりと普通の顔で、ちょっと自信なさげな人にグッとくることが多い(笑)」

── え〜、自信がある男性が好きって女性は多いんですけど、そうか〜。どの辺がいいんですか?  可愛い感じがする?

「ん〜あれかな、全体的には謙虚に『いやいや僕なんか』という態度だけど、肝心なことはできてる、みたいな。イケメンで自信に満ち溢れていて、『俺カッコいいだろ』って人が無理」

── そうか、謙虚で勘違いしてない人ですね。では初めての人がそうだったんですか?

「いえ、すみません。実は最初の人のことは正直あまり覚えてないんです。その後に付き合った人の印象が強くて」
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30歳差でも本気の恋愛ってあるんです

── あれ、そうでしたか。それはどんな人だったんですか。

「はい、最初の話に戻りますが、高校を卒業してすぐに家を出て、キャバクラに勤めたんです。その店にお客さんで来ていたのがその彼で、4年間同棲してました。一緒に住んでた家の庭で育てた植物を加工してキャンドルを作って、それをデパートに卸したり、ネットで通信販売したりしてたんですよ」

── ええ〜凄い! だってそれ、20歳くらいの頃の話ですよね? しかし庭付きの家で同棲って、彼はお金持ちだったんですか?

「ん〜、まあ〜そんなでもないですけど、相手が30歳上だったんで」

── え? え、30歳じゃなく、30歳上!?

「そうです〜(笑)。私が20歳の時に、彼が50? かな。出会ってわりとすぐに、同棲をはじめました」
── そうなんですね。ちょっと聞きづらいのですが、彼には家庭がなかったのですか?

「そのくらいの年齢だと、そう思いますよね(笑)。でも彼は独身で、私と一緒に住むようになった頃に、ちょうど民宿を開業していて」

── えっと、元から民宿関係の仕事をしていたわけじゃなく?

「それまでは、業種の違う会社を経営していたそうです」

── じゃあ、そういうバイタリティのある人だったんだ。

「そうですね、彼は年齢のわりに守りに入っていないというか、なんかちょっとフワフワっとしていて、肩の力が抜けているんですね。そのまんま『これしたら面白いかもしれないからやってみない?』って、提案もしてくれる。一緒にいると、次は一体どんなことが起こるんだろうとか、どんなものを見せてくれるんだろうという、ワクワク感がありました」

── そうか〜。じゃあ、いわゆる少年みたいな?

「そうかも(笑)」

── やっぱりそういう男性ってモテるんだな〜! でもそうすると、浮気されたりしませんでしたか?

「ん〜、たぶんしてないと思います。私、凄く束縛されてたんです。彼は自分の年齢をコンプレックスに感じてたみたいで、今振り返ると、私がどこにも行かないように囲ってたように思います」

※後編(8月7日公開予定)に続きます。

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)など。最新刊はcakesの連載から大人論を抜粋してまとめた『大人の条件』(産業編集センター)。

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