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  • この夏、食べておきたい! 年内店仕舞いが決まった岐阜「泉屋」の絶品「鮎らーめん」

2026.07.12

【第102回】 「泉屋」の鮎らーめん

この夏、食べておきたい! 年内店仕舞いが決まった岐阜「泉屋」の絶品「鮎らーめん」

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

BY :

文/山本益博
CREDIT :

写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食しつつラーメンの最前線をリポートする連載。今回は筆者が毎年夏になると通って食べてきたという岐阜「泉屋」の「鮎ラーメン」についてです。

ラーメン革命! 山本益博 LEON 岐阜の川原町に「泉屋」

▲ 岐阜県川原町「泉屋」。

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鮎料理専門店のコースの締めくくりとして申し分のない「鮎ラーメン」

岐阜の川原町に「泉屋」という鮎料理専門店がある。この店がまだ市内の繁華街にあった頃、「鮎らーめん」をいただいた。「鮎の塩焼き」が第一の目的だったから、最後にいただいた「鮎らーめん」は「ユニークなラーメン」があるもんだ程度の印象だった。

その後、現在地の「泉屋」へ移ってから何度も足を運び、そのつど「鮎らーめん」を食べては、その味に感心することしきりだった。


その前にいただいた「鮎の塩焼き」の後味を邪魔することなく、「鮎」を堪能できるコースの締めくくりとして申し分なかった。

 「泉屋」の鮎らーめん 益博

▲ 「泉屋」の鮎らーめん。

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この「ラーメン革命」の連載でも、鮎の季節がやってくると、夏の間に取り上げようと思いながら、いつでも紹介できると嵩をくくっていた。ところが、今年いっぱいで店仕舞いをするという知らせを聞いて、慌てた。そして、鮎の季節になったところで出かけ、「鮎の塩焼き」を楽しんだ後、「鮎らーめん」をしみじみといただいてきた。

「泉屋」の「鮎の塩焼き」には地元のふたつの川で獲れた鮎が2尾出てくる。上流の浅瀬の川と川底の深い川とでは、微妙に味わいが違うという。

  「泉屋」の鮎の塩焼き2種。 益博

▲ 「泉屋」の鮎の塩焼き2種。

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清澄な優しいスープの中から「鮎」ならではの香りが立ち上ってくる

これにはビールが最高の相棒となり、まず、しっかりと焼かれた鮎の頭にかぶりつくと川魚独特の香りと苦みが口中を占領する。ここで注ぎ立てのビールをひとくち、両者が合わさるとうま味と甘みが増幅する、なんとも至福の瞬間である。そして、身をいただいたところで、ふたたび、ビールをひとくち。最後に尾をつまんで、みたびビールをいただく。頭は唐揚げ、身は塩焼き、尾は干物になった、完璧な「鮎の塩焼き」だった。

そうして、最後に登場したのが「鮎らーめん」。干物にされた鮎が堂々と横たわった一杯。まずは、スープをいただく。なんとも清澄な穏やかで優しい味わいのスープの中から、「鮎」ならではの香りが立ち上ってくる。丼には余計なものが入っていないから、「鮎」以外に気をとられるものがない。「塩焼き」をいただくのと同様に、頭、身、尾の順でいただき、その合間に、スープで「鮎」の味を切り、また戻る。この繰り返し。

 「泉屋」主人の泉 善七さん。

▲ 「泉屋」主人の泉 善七さん。

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食べ終えて、ご主人の泉 善七さんにお話を伺った。


スープは中国料理の「上湯」を摂っているとのこと。塩気をまったく感じさせないところが素晴らしい。それに、鮎の内臓をペーストにして、スープに加えているという。「鮎料理」専門店ならではの仕業ではないか。

ラーメン制作者、ラーメンファンに、今年11月、店が閉まる前、是非とも召し上がっていただきたい一杯である。

山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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