Drivers' LEON

第115回 「スーパースポーツカーの最新事情」

スポーツカーが売れるワケ

スポーツカーが売れるワケ

Drivers’ LEON

スポーツカーが売れるワケ (1/3)

※本特集は2017年1月号で掲載した企画の抜粋です。

“発売前から予約だけで完売”、”納車1年以上待ち”etc……。
日本も含めた世界中で、ことスーパーカーに関しては
景気のいい話ばかり耳にする。誰もが子供の頃から憧れてきた
クルマの魅力をいま一度、考えてみたい――。

Super Sports Car01Mercedes AMG GT [メルセデスAMG GT]

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「扱いやすさ」優先のフロント・エンジンを採用
F1で大旋風を巻き起こしているメルセデスAMG。スーパースポーツカー市場には限界域のコントロール性を優先してフロント・エンジン・レイアウトを採用。優雅なロングノーズ・デザインに。340psのGTと375psのGT Sという2モデル構成。どちらも7速ATのV8 4.0ℓ直噴ターボエンジン。1650万円(税込)~/メルセデス・ベンツ(メルセデス・コール)

スポーツカーはクルマというより、もはや嗜好品

2000万円、3000万円もするスポーツカーが売れに売れている。例えばフェラーリが2015年に全世界で7664台(対前年比+6%)を販売して創業以来の新記録を打ち立てたほか、ポルシェも前年を19%も上回る22万5000台以上を売り上げ、5年連続で新記録を更新。ランボルギーニのグローバルな販売台数は3245台ながら、これも同社にとっては史上最高記録だったうえ、伸び率は対前年比で28%と驚異的な数値を示した。売れているのはスポーツカー専業メーカーばかりとは限らない。ハイパフォーマンスカーを新たに「アウディ・スポーツ」ブランドでプロモーションすることになったアウディは、R8とRSモデルの合計で17万台以上を販売。対前年比で+13%と、こちらも大躍進を遂げている。

では、なぜスポーツカーが世界中で飛ぶように売れているのだろうか?急激な経済成長を続ける新興国でスポーツカーのセールスが続伸しているという事実がそのベースにあるにせよ、ヨーロッパ、北米、日本などの「スポーツカー先進国」でもスポーツカー・ビジネスは成長を続けている。その理由は簡単には説明できないものの「クルマを所有する目的の変容」が根底にあるような気がしてならない。

Super Sports Car02Audi R8 V10 Plus 610 PS [アウディ R8 V10]

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GT3マシンと同じスーパースポーツカー
スーパーGTで活躍するGT3マシンのR8 LMSと同じ組織が開発した2代目R8。街を流す時は先代同様の洗練されたフィーリングながらワインディングでは荒々しい一面を見せる。R8 V10は540ps、R8 V10 plusは610psを発揮。カーボンを多用した軽量ボディに最新の4WDを備える。2906万円(税込)~/アウディ(アウディ コミュニケーション センター)

いま、東京で暮らすうえで自動車が絶対に必要かと問われれば、その答えは間違いなく“NO”だろう。単に移動の手段と考えれば、自分でクルマを所有するよりもタクシーや地下鉄のほうがはるかにラクで便利で経済的だ。それでも私たちがクルマにこだわるのは、車中で過ごす時間がほかの交通手段では味わえない特別なものだからではないか。つまり、クルマはもはや単なる実用的な道具ではなく、腕時計やファッションと並ぶ嗜好品に近づいているとの見方も成り立つのである。

仮にクルマが嗜好品だとすれば、趣味性の高いもの、オーナーの個性が強く表現されるものがより好まれるのは当然のことだろう。この点、実用性よりも走りのパフォーマンスやテイストに軸足を置いたスポーツカーが注目を集めるのも、ごく自然な成り行きといえるかもしれない。では、そんな視点から改めて最新のスポーツカーを見つめ直すと、どのブランドも非常に個性の強いラインナップを取り揃えていることに気づく。基本レイアウト、駆動方式、エンジンなどに各ブランドが独自性を凝らし、ボディ構造やそこで使われている素材もさまざま。それは、まさに百花繚乱と表現するのがふさわしいほどだ。

そうした個性を視覚面から訴えているのがスタイリングである。一般的にいってスポーツカーはサイズに対する制約がゆるいうえに居住空間を大きくとる必要性が薄いため、デザインに費やすことのできるスペースが多く残されている。このスペースを、各ブランドのデザイナーは個性を描き出すキャンバスとして存分に活用し「フェラーリだ!」「ポルシェに違いない!」「まさしくランボルギーニ‼」と遠くからでも直ちに認識できる造形を作り上げている。これぞスポーツカーの特権、とでもいうべきポイントである。

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スーパースポーツカーが乗用車感覚で乗れる!

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