フォトグラファー仁木岳彦のイタリア日記

ミラネーゼも知らない、ミラノの夏祭り

仁木 岳彦
上智大学新聞学科卒。旅の途中、イタリアにただならぬ縁を感じ、2000年からミラノ在住。撮影対象は興味の赴くまま、テーマはむしろ神々しい光の空気感。

例年イタリアで最も暑いのは、6月末から7月いっぱいなのですが、ヴァカンスシーズンのクライマックスは、カレンダー通りに聖母被昇天記念日の8月15日前後と決まっているようです。「別荘へ、田舎へ、ヨットへ、リゾートへ、海や山へ、とにかく旅へ、、、」、8月(特に中旬)のミラノは人もクルマも少ない都会の砂漠となるのです。案外涼しくて良い季節なので、最近では旅を他の季節に計画して、あえて夏はミラノに残る若者もいるようですが、「お互い、みんなで休みましょうね」は、不問律のお約束。この季節に、自分だけ働こうと思っても、誰ともアポが取れずに痛い目にあうのです。日本の正月が、丸ひと月続く感じ?

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例にもれず、普段は旅に出ている事が多い僕なのですが、今年は久々にそんな都会の砂漠ミラノのゆる〜い夏を楽しんでいました。ところがです、静かなはずの近所が、やけに騒がしいではありませんか? 音の鳴る方に行ってみると、、、

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いきなり、スペイン語が飛び交う別世界。コスチュームを着て踊りまくっていたのです。なんすか、これ?

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「すいませんが、一体、何のフィエスタ(Fiesta、スペイン語で祭りの意) なのでしょうか?」と問うてみると、8月中旬のエクアドルの独立記念日にかこつけて、ミラノの南米コミュニティーが集結しているとの事。今年で8回目だそうです。初めて遭遇しました。

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色とりどりの衣装が綺麗ですね。「写真撮ろう!」と近づいたら、ドレスの裾をさっと持って、秒速で最高のポジショニングで並んでくれました。さすがですね。旗を持った男性も、これまた絶妙すぎるポジションで何気に撮影に参加。素晴らしい!女性たちの美も、こうした男性に支えられているんでしょうね。

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不思議な形のコスチュームを着た若者達を見かけました。ヒーロー映画のロポットっぽい、どこか勇敢な感じのするデザインなんすよね。この衣装の原型は、何なんでしょうかね。

情熱的で直観的で、本能優先なノリを表すのに、ラテン気質なんていう言葉がありますよね。冷静沈着の反対語ですかね?そりゃイタリアも本来ラテンのど真ん中なんでしょうけれども、南米の人たちの音楽さえあればハッピーみたいな姿勢とは程遠いんすよね。イタリア的には、フェデリコ・フェリーニ映画「La Dolce Vita(甘い生活)」っぽい感じの、退廃的で豪奢でオシャレな要素が欲しくなってくるというかね。気楽に誰でもアミーゴ(Amigo、スペイン語で友人の意)と呼び会う南米人の方が、究極なラテン気質を感じます。影響を受けやすい僕は、彼らに混じると、脳みその中枢が瞬時にやられてしまいます。そんでもって、人生のエッセンスが浮き上がってくるというか、なんというか。これはこれで、気分良いっすよ。

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見慣れた広場の一角が、その日は懐かしい感じのカキ氷屋さんになっていました。生命力ありますね。チキンをその場で揚げている輩もいて、ヴァカンスの時期だからこその治外法権? そんなカオスが夜まで続いていたようです。しかし、ミラネーゼが少ない夏の盛りに催しているあたりが、賢いっすね! 最高の隙間のタイミングを狙った祭り。ここのガイジン達の夏もクライマックスを迎えていました。

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多分、ほとんどのミラネーゼ達が知らない、ディープな夏祭りのリポートでした。皆様、良い夏をお過ごしください。

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