フォトグラファー仁木岳彦のイタリア日記

Buone Feste!!!

仁木 岳彦
上智大学新聞学科卒。旅の途中、イタリアにただならぬ縁を感じ、2000年からミラノ在住。撮影対象は興味の赴くまま、テーマはむしろ神々しい光の空気感。

「Buone Feste!!!」、英語で言えば「Happy Holidays!!!」。
日本語の直訳「良いお祭りを!」では雰囲気イマイチでませんが、、、
今シーズンは、例年よりも、この言葉をよく耳にした様な気がします。

「Buon Natale!!!」だと、「Merry Christmas!!!」と同じで
キリストの生誕を祝う意味になるんで、キリスト教徒以外の人には、
失礼になってしまう事があるんっすよね。ニューヨークでは
誰も「Merry Christmas!」とは言わずに、みんな「Happy Holidays!」と
言っていたのを思い出しました。ミラノも徐々に
国際化しつつあるのかな? 私なんかは東洋人ですので、
気をつかって、「Buon Natale!」ではなくて、
積極的に「Buone Feste!」と言ってくれていたのかも。

ところで、クリスマスと年末年始の関係は、
あくまで分かりやすく言うとですが、、、イタリアと日本では、
なんとなく逆な感じ?

イタリアのクリスマスは、家族と集まって、大ディナーか大ランチを
催して、子供にはサンタクロースからの特別なプレゼント。。。
そう聞くと、正に親戚に年始の挨拶に行って、おせちを食べて、
子供はお年玉をもらうという日本の正月みたいじゃないですか?

対して、こちらの年末年始は、日本ほど、おごそかではなくて、、、
カップルか友人達と集まって、若者ならばバカ騒ぎといった感じ。。。

写真も撮りましたし、せっかくなんで年末年始のホリディシーズンを
さらっと時系列歳時記として説明させてください!!!


友人や家族とのプレゼント交換もありますんで、クリスマス商戦は
一年で一番の書き入れ時。12月に入ると、お店も週末の休日返上で、
ムードを盛り上げてる様子。唐突でしたが、サンタバニーを
お見かけしました。冬真っ盛りだと言うのに、この格好。深い意味は
分かりませんでしたが、圧倒的に街を華やかにしてくれてました。


イタリア人にとっては、クリスマスツリーは、わりと新しい
習慣なのだとか。。。元々は、サンタクロース同様に北ヨーロッパのモノ。
今年のドゥオモ広場のクリスマスツリーは、時計の「GAGA MILANO」の
提供でした。サッカー選手や芸能人にも愛用者が多い、
派手なデカ腕時計のブランド。これまでミラノの巨大ツリーは、
宝飾品の「Tiffany & Co.」 や、クリスタルの「SWAROVSKI」が
提供だった事もあるわけで、、、そう考えると、「GAGA Milano」も
相当勢いありますよねえ。全身を格好よく決めても腕時計ぐらいは
遊び心全開って時には、「GAGA」が大活躍してくれるらしいっすね。



12月24日の日没から25日にかけては、方々の教会で
クリスマスミサが行われていたはず。大切な宗教行事ですので、
教会ではキリスト誕生を荘厳に祝います。なんといっても
このホリディシーズンのクライマックス。一般的には、
毎年食べ過ぎて、後悔するのも、この日。


クリスマスツリーは新しい習慣である一方で、イタリアで昔から
飾る習慣があるのはプレセピオ。馬小屋でのキリスト誕生のシーンを
人形で再現したモノで、教会や家の中に飾ります。12月8日の
聖母無原罪のお宿りの祝日ぐらいから、あちらこちらで見かけるように
なるんすけど、、、初めて見た時は、「なんか足りないなあ。。。
あれ、赤ちゃん役の主役イエスキリストがいない!!!」と気がついて、
ビックリ。12月24日か25日に生誕を祝ってから、
幼子キリストの人形を飾って完成するのが正式だそうで。。。
街や教会、家庭によっても、各々のプレセピオの雰囲気が違いますので、
それらを比べてみるのも、この季節ならではの楽しみとなりました。
写真はミラノの中心地サンバビラ広場からも近いサンカルロ教会のプレセピオ。
ところで、名著「ミラノ 霧の風景」などで知られるエッセイスト
須賀敦子さんの本に出てくるコルシア書店は、この教会の、、、
「いわば軒を借りるかたちでひっそりと店をかまえていた」のだそうです。
須賀さんも、このプレセピオを見ていたのかもしれないなあ。。。


そして、ミラノのクリスマスケーキと言えば、パネットーネ。
見かけは、とても地味なケーキなんすけど、、、毎年毎年食べ続けて
いるうちに、その独特な薫りと食感が、なんとも懐かしい想いに
させてくれるように。すっかり好物になってきました。
作るところを取材で見たことあるんですが、、、特別な酵母をつかって、
何日もかけて発酵させてから焼くそうです。地味な見かけからは
想像がつかないくらいの手間のかかりよう。良いパネットーネは
フワフワモチモチの最高の舌触りでありながら、地に足の着いた
しっかりした味と、鼻に抜ける高貴で豊かな酵母の薫りで、
我々をぶちのめしてくれます。。。この酵母こそが、
とても貴重なものらしく、その取材したお菓子屋さんでは、
もしもの事を考えて、5、6カ所ぐらいに分けて、
入念に保存しているとの事でした。12月か1月にミラノに
来る機会がある方は是非。。。


正月は、それぞれ、楽しく過ごせれば良いという感じ。
わかりやすい比較例で言うと、日本だと、NHKの「ゆく年くる年」が、
除夜の鐘の音と共に、おごそかに清々しい新年を告げますよね?
残念ながら、そういう雰囲気は皆無。イタリアのテレビでは、
賑やかなカウントダウンの後には、現在世界的ヒット中の、
K-POP歌手PHYの「ガンナムスタイル」が流れると言った感じ。
ハッピーニューイヤーの雰囲気、想像できますでしょうか?
そして、大晦日の夜に友人達と過ごしていたら、必ず話題にあがるのが、
「赤パンツはいたか?」っていうお決まりの質問。。。
その質問が出た頃には、なんとはなしに、親密な事を質問してしまった為か、、、
なんなのか、、、なんとなく和やかな空気が流れます。
ニューイヤーの赤パンツは、幸運を運んでくるらしいんすが、、、
未だかつて、その由来を、理路整然と教えてくれたイタリア人は
一人もいないんすよね。。。どうやら、赤パンツ伝説を語る頃には、
脳みそのスイッチがオートマチックに切れていて、
ニヤニヤハッピー、ハッピーニューイヤーなのです。


宗教上は、12月25日にクリスマスの祈りがはじまって、
そこから12夜を過ぎた1月6日の公現祭で終わり。
諸説あるそうですが、キリストの誕生を祝って、東方の
三博士が来た事を祝う日。クリスマスツリーや、プレセピオも、
この日を境に片付けはじめます。どういう訳か、この日に
魔女のベファーナがやって来て、子ども達にお菓子や
プレゼントを配って歩く日なのだそうだ。。。

見聞きするミラノでの習慣を、軽く書いてきましたが、、、
12月13日の聖ルチアの日に子どもがプレゼントをもらう街も
あるそうで。。。イタリア国内でもプレゼントの仕方や、
日にち、プレゼントを持ってくるパーソナリティなどにも、地方に
よって違いがあるのだそうです。ただ、子どもが12月から
1月にかけて、想像上の誰かから、プレゼントをもらうという点では
一致してるんですよね。なぜなんでしょうね???


こうしてホリディシーズンが、一段落すると、恒例の
冬物のセールがはじまります。。。人気店は、ミラノでも
列を作るんですよね。大人はこの機会に列を作ってでも
自分自身にプレゼントするってところでしょうか???

ミラノより、冬の歳時記でした。。。

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