あのコを帰さない！ ロマンティックな「時計」って!?

永久カレンダーと並ぶ三大複雑機構のひとつが「ミニッツリピーター」。ボタンまたはレバーを操作することで時計内部のハンマーがゴング（鐘）を打ち鳴らし、その回数で現在時刻を知らせてくれます。

貴族が暗闇でも時刻を知るために17世紀後半に作られ、18世紀には天才時計師アブラアン＝ルイ・ブレゲが懐中時計サイズに小型化。さらにずっと時が降って、ようやく腕時計に搭載されることになりました。

15分単位で知らせる「クォーターリピーター」、5分単位で知らせる「ファイブミニッツリピーター」などもありますが、特に時計マニア垂涎のリピーターといえば、1分単位で知らせるミニッツリピーターでしょう。

ちなみにミニッツリピーターは、大抵が高低差のあるふたつの音色を組み合わせて時刻を教える仕組み。たとえば10時49分の場合、まず「時」を示す低音を10回鳴らし、続いて「四半時（15分単位）」を示す低音＋高音の組み合わせを3回、最後に「分」を示す高音を4回といった感じです。

超複雑機構ですから、ミニッツリピーターは高い技術を持つごくごく一部のブランドしか製造できません。当然、大量生産できるわけもなく、まさに限られた人だけが耳にできる特別な音なのです。

そんな特別な腕時計を日常使いするのは、とってもラグジュアリーなこと。たとえば、女性とバーでお酒を飲んでいるとしましょう。

それでちょっと会話が途切れた時に、腕時計が“チリンチリン”と美しい鐘の音色を響かせたら……？ 彼女が興味を示さないはずはありません。

そして時刻の聞き取り方を教えてあげたうえで、もう一度ゴングを鳴らし、「さて、これは何時を告げたんでしょう？」なんてクイズを出してみる。ミニッツリピーターの繊細な音色は耳を澄まさないと正確に聞き取れませんから、自然と彼女はあなたの側にぐっと近づいてくるでしょう。

このテクニック、懐に余裕のある大人はぜひともご活用くださいませ。

自社製ムーブメントを搭載するL.U.Cコレクションの誕生25周年を祝したチャイミングウォッチ3部作のうちの一本。ミニッツリピーターに加えてトゥールビヨンと、三大複雑機構のうちふたつも搭載しています。

なお、今作のリピーター用ゴングは、サファイアクリスタルの風防と一体成形。だから振動を効率よく伝え、大きく、澄み切ったいい音を奏でます。

また、リピーターのための専用香箱を持ち、最大巻き上げ時には最もトルクを必要とする12時59分を12回分も鳴らすことが可能です。

パトリモニーといえば名門ヴァシュロン・コンスタンタンを代表する薄型ドレスウォッチ。本モデルでは、そこになんとミニッツリピーターを載せてしまいました！　

しかも、ムーブメントの厚さはわずか3.9mm。ゆえにケースも8.1mmと超スリムに仕立てられています。シンプルにして高貴な気品溢れる文字盤デザイン、ラウンドケースのカーブと沿うよう造形のレバーなど、いたるところまで独自の美学を貫いているのも見事。

なお、各モデルのチャイムの音はメゾンに録音して資料として保管されているのだとか。そのため、いつでもチャイム音は完璧に調律された音に修復可能です。

オクト フィニッシモといえば、オクトの芸術的な多面体構造ケースに自社開発の超薄型ムーブメントを載せ、手首に吸い付くカミソリのようなプロポーションに仕立て直した大人気コレクション。デビュー時の2012年から現在にいたるまで、腕時計の世界最薄記録を8度も更新しています。

こちらはミニッツリピーターモデルの最新作で、6.61mm厚のケースとオープンワークの文字盤に、超軽量なチタンを使用。

なおミニッツリピーターは音色の美しさや大きさも大切ですが、ブルガリは文字盤のインデックスやインダイヤルをスリット状として音響効果をアップ。その澄み切った音色は手に入れられた人だけのお愉しみです。

ブランパンの最もクラシックなコレクションであるヴィルレの美観を壊さず、ケース径23.9mm、厚さ4.85mmの超コンパクトな自動巻きのミニッツリピータームーブメントCal.35を搭載した名作。

外観同様に音色もとてもクリーンでピュア。これは素晴らしい品質の音色を奏でるために、ゴングにムーブメントの周りを1.5 周するのに十分な長さのブレードを与えているから。

それが最大の音響効果を発揮するよう、同メゾンのウォッチメーカーたちが手作業で調整と調音を繰り返した賜物です。