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2018.04.18

夏木マリさんの“いい女”論。「男を成長させるのが本当のいい女」

男目線の「都合のいい女」ではない、一生付き合いたい「本当にいい女」とは? 夏木マリさんにお話を伺いました。

CREDIT :

文/紺野美紀

凛とした佇まいで異性同性を問わず憧れる人が多い“いい女”代表の夏木マリさん。とかく「都合のいい女」を探してしまいがちな男性のために、男として惚れるべき「本当のいい女」とはどんな女性なのか、お話を伺いました。
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男が思う“いい女”は一晩一緒にいてくれる女

「“いい女”って……、本当にとても難しい問題ですよね。私、自分で“いい女”だなんて思ったことないもの(笑)!」と夏木さん。

「男性の場合は極端な話、仕事が出来るとかお金持ちだとか学歴が高いといった、分かりやすい“いい男”像っていうのはありますよね。でも、女性の場合は、一見して“いい女”かどうかを見極めるのは難しいと思う。そもそも万人に“いい女”なんていないと思うし」(夏木マリさん以下同)
とは言え、巷にあふれる男目線の“いい女”像には異論もあるようで。先日、ある番組では「男が思う“いい女”は一晩一緒にいてくれる女でしょ」との発言も。

「そう思いますね。でもそれは、男性にとって単に都合の“いい女”でしかないでしょう」
そんな女性ばかり求めている人には女性の本当の素晴らしさがわからないのではと夏木さんは言います。

「若い時は男性も、好みの容姿かどうかだけで女性を選んだり、歳を取ると、今度は若いというだけで連れまわしてみたり。まぁ、そういうことがいけないわけじゃないけれど……」
そこで巡り合えるのは本当の“いい女”ではないようです。

「男にとって本当に “いい女”は、2度と離したくないと思えるような、ずっと長く付き合いたい女ですよね」
一晩ではなく一生付き合いたくなる“いい女”こそ「本当のいい女」というのが夏木さんの説。
ではそういう“一生モノのいい女”とはどういう女性なのでしょう?

女性を育てていると思っているのは男性の勘違い!?

「私はそれは男性を育ててくれる女だと思うんです」
女性が男性を育てる?

「そう。普通は男性が女性をいい女に育てると言うでしょう。でも、男性が“いい女”を作れるかって言ったら、私は無理だと思います。逆に女性は“いい男”は作れるんじゃないかしら。少なくとも私は“どうしようもないな”と思う男性でも、ある程度いい男にする自信はありますね(笑)」

なるほど。とかく男性は知識や財力をアピールして、女性をリードしたがるもの。そして、若い女性を“自分色に染めてやろう”なんて思ったり……。

「でも、男性が育てていると思っていても、女性って意外と男性の色に染まらないものだと思いますよ。女性って現実的だし頑固な生き物だから。男性が気付いていないだけ(笑)」

昔は女性が三歩下がって男性の後を付いてくるのが良しとされていました。けれども近年では女性も仕事をもち、キャリアを重ね、ある程度の収入を持って自立している人がほとんど。時代が変われば男女の関係も変わってきて当然です。なのに、相変わらず日本の男性の恋愛観は昔のままのようで。

「特に日本は子ども文化というか、若い女性がいいと考える男性は多いですよね。連れて歩くには若くて可愛い女性の方がいいのもわかるけど」

でも連れて歩くためだけの存在だったら、アクセサリーと一緒。そのうち飽きる表面的な関係しか築けません。

「そういう女性に魅かれる時期があってもいいと思いますけど、本当にいい男はある日気付くと思うんですよ。それだけじゃダメだなって。それに気付いた時が、本当に“いい女”をゲットできる時なんじゃないかしら」
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男性が女性から学ぶ楽しさを知ると男女関係が変わる

ここは、男性も発想の転換が必要のようです。
女性をリードし、自分の色に染めるのではなく、むしろ自分が女性から何を学べるのかを考えてみる。そのことで新しい関係が見えてくると言います。

「男性が女性から学ぶ楽しさを知ることで、男女関係は大きく変わってくると思います」

そういう関係では歳も関係ない。年上の女性と付き合ったっていいし、凄く若い女性と対等な恋愛をしたっていい。

「パリの街中では、本当に年の差カップルをよく目にします。傍から見たら親子かと思うほどのカップルもいますけど、みんな本当に楽しそう。日本では年のいった男性が若い女性と歩いているだけで後ろ指刺されますけど(笑)」

フランス大統領のマクロン氏の妻が24歳年上ということで、世界中が衝撃と賞賛に湧いたのは記憶に新しいところ。

「マクロンさんの奥さんは先生でしたけど、彼は奥さんから多くのことを学んで成長していったんじゃないかしら。
そうやって手強いなと思えるくらいの、ハードルが高い女性と付き合った方が楽しいと思うんですよね」

それをフランスの男たちは知っているのだと言います。

「自立している女性って、さまざまな顔をもっています。インテリジェンスがあって、色んなことをよく知っている。そういう人と付き合えば、若い男性なら頑張るでしょ? 大人の男だっていろんな刺激をもらえる。“いい男”になるって、そういう“いい女”から学ぶことから始まるんじゃないかなと思いますね」

自分にしかわからない相手の魅力を見つけられれば素敵

「フランス人は女性から学ぶ楽しさを知っているから、年齢に関係なく付き合えるんだと思います。だから、単に年上なだけじゃなくて、若い女性からも学ぶことってたくさんあると思いますよ」

「例えば、今のSNSなんて若い女性の知識は、宇宙人レベルかもしれない(笑)。そんな宇宙人からも知識を吸収できるピュアさが、男性にはあると思うんです」

そうやって自分に刺激を与えてくれる女性こそ、貴重な女性だということに気づくと、男性も女性を見る目が大きく変わるかもしれません。

「例えば、私は草間彌生さんはすごく“いい女”だと思います。付き合いにくいとは思うけど(笑)。でも、ある人にとってはめちゃめちゃ“いい女”。そういう自分にしか分からない魅力を見付けられたら素敵だと思うし、それに気付いた男性が“いい男”になれるんだと思います」

「それには自分が何に興味あるのか、どんなことに魅かれるのか、まずは男性も自分をきちんと知ることですよね。無防備に“いい女”を探してても見つからないですよ(笑)」

結局、男と女は違う生き物。だからこそ、お互いに刺激し合い、それぞれの存在を高め深めて行ける可能性がある。そのゲームこそが男女が一緒にいる意味。

「でも、そのためには、まずお互いに人として自立していることが必要だと思います。きちんと自分の足で立つこと。相手にもたれかかって依存しないことが大事じゃないかしら」

「男性って、御しやすいというか、自分の言うことを聞いてくれる女性が“いい女”だと思いがちですよね。でも、それはさっきも言ったように“都合のいい女”。本当の“いい女”は、簡単には扱えないんです。そういう人はきちんと自分の足で立っているし、だからこそ人として魅力的なんだと思いますね」

女性の本質を見ることが大事だとすると、ビジュアルは関係ない?

「いえいえ。私はビジュアルもすごく大事だと思いますよ。“いい女”と言われている方たちは、やっぱり外見も素敵です。姿勢や歩き方はもちろんのこと、清潔感といった見た目にもきちんと気を使っていますよね」

もちろん、ブランドもので着飾るとかエステに大金をつぎ込んでいるということではありません。
「そういった女性というのは、やはり自分自身のことをきちんと知っていて、自分に似合うものをちゃんと理解している。だからお洒落だし素敵に見えるんです」。

ビジュアルとは外に現れたその人の本質。つまり人柄を判断する大きな材料なのです。自分のビジュアルに気をつかえない人は、相手にも無関心なのかもしれません。
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媚びるのでなく、上手に甘えられるのは“いい女”

自分にとっての一生モノのいい女を見つけたとしても、お互いが幸せになれてこその恋愛関係。男性、女性である前に、人として、お互いを尊重できることが大切だと言います。

「基本的に優しさがない人はダメ。特に一対一で付き合うなら優しさは大事でしょうね。相手を思いやるとか、リスペクトするとかね。自立していても自分が一番じゃない人がいい」

「あと、ちゃんと人の話を聞くというのは、人としての優しさだと思いますね。相手を気遣うのと、媚びるのは違うってことです。媚びるのは何かギフトを求めている気がします。気遣うのは無償のものでしょう」

「それと、女性のなかには媚びる=甘えるって思う人がいるけれど、それも別だと思いますよ。甘えることって、“いい女”の条件の一つじゃないかしら。上手に男性に甘えることは難しいんです。私は甘えられないの。だから、私は“いい女”じゃないのよね(笑)」

そんな夏木さんが“いい女”であるために心がけていることは。

「“いい女”かどうかは別として(笑)、私らしくいること。無理しない。私が清々しく自分らしく生きていればいいんじゃないかなと思っています。私、あまり悩まないんです。死ななきゃOKって感じ(笑)。丈夫な体があって、明るく生きられればいいかなと」

最後に夏木さんの“いい男”のタイプを聞くと。
「見た目の好みはありますよ(笑)。わりとがっしりした人が好きですね。あとは、直感。会った瞬間に分かる匂いというか……。自分と同じグルーブだなと思う人には魅かれますね。それと口が合う人。食事の好みはとても大事です」

●夏木マリ(なつき・まり)

プレイヤー。1973年歌手デビュー。'80年代には演劇に活動の場を広げ、数々の賞を受賞。'93年にスタートしたコンセプチュアルアートシアター「印象派」では身体能力を究めた芸術表現を確立。2017年には東京・京都・パリのルーヴル美術館で公演し高い評価を受ける。映画、舞台、バンドといった活動のほか、「One of Loveプロジェクト」という支援活動も積極的に行っており、今年は6月16日(土)にマイナビBLITZ赤坂にて支援GIGを開催予定。3月に公開された主演映画『生きる街』は、東日本大震災で家族を失った女性を好演。全国でロングラン公開中。声優を務めた映画『犬ヶ島』は5月25日、映画『ビジョン』は6月8日公開予定。著書「好きか、嫌いか、大好きか。で、どうする?」(講談社)が好評発売中。

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