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2018.12.27

あなたは「正しい初詣の作法」を知っていますか?

毎年、何気なく訪れている初詣。でもこれは立派な神事です。その正しい作法を知らないでいい加減に済ませているのはカッコ悪いし、ご利益も期待できません。というわけで、改めて正しい初詣の作法をお教えします。

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文/吉田美奈子

彼女と一緒の初詣を毎年欠かさないという読者も多いと思います。でも、長い行列に並んで、拍手打って、お賽銭あげるだけで、何も考えずに終えていませんか? 実は初詣には長い歴史と深い意味があるんです。大人の男たるもの、神事にして日本の代表的な伝統行事でもある初詣ぐらいは、その意味を理解して、正しい作法で行いたいもの。彼女に教えてあげれば男の株が上がるってもんですよ。

●初詣はいつから始まったの?

いまのような初詣が始まったのは、江戸時代中期からと言われています。江戸時代の頃は、その年の恵方(新年に年神さまがいらっしゃる、その年に縁起の良い方向のこと)にあたる寺社を参拝すると幸運になると言われており、特に年始に参拝するとご利益が多いとされたことから、恵方にあたる寺社への初詣が盛んに行われるようになりました。

とはいえ、その頃は、まだ初詣とは言われず「恵方詣(えほうまいり)」と呼ばれていました。「初詣」という言い方が登場するのは、昭和になってからのこと。それ以前は、年中行事を記した書の中にも、「初詣」の文字は見あたりません。実は、新しい言葉、習慣だったんですね。

しかし、その起源はとても古く、古来からあった「年籠り」という風習です。一家の長が、大晦日の夜に氏神さまの神社などに詣で、社殿で徹夜して祈る行事で、うっかり居眠りしてしまうと白髪が増えるなどの言い伝えもあったよう。平安時代の書には、すでにその記述があります。

暦や時間の知識がない古来は、1日の境は日没。新年も大晦日の日没から始まると考えられており、年籠りもまた、年が明けて初めて寺社に詣でることだったわけです。

それが、暦や時間などの知識が普及し、1年の区切りが真夜中になると、大晦日の夜に詣でる「除夜詣」と、年が変わって元旦に詣でる「元旦詣」に区別されるようになります。

そして、江戸時代中期頃から、この「元旦詣」が、前述したように、「恵方詣」として盛んに行われるようになったというわけです。

●初詣は、いつ行くべきなの?

除夜の鐘を聞きながら寺社に出向いて寺社で年越しをする「二年詣」が正しい、元日の午前中に詣でる「元旦詣」が正しいなど、いろいろと意見もあるようですが、結論からいえば、特に決まりはありません。

でも、三が日のうちには行きたいところ。遅くとも、松の内の期間中には、行ったほうが御利益は多いかもしれません。松の内は、年神様が滞在されているといわれる期間内なので、お願いごとも伝わりやすいでしょうから。

なお、松の内の期間をいつまでとするかは、地方によって異なります。関東では1月7日まで、関西では小正月の1月15日までとするところが多いようです。また、20日の二十日正月までを松の内としている地方もあります。

ちなみに、関東で7日までを松の内とするわけは、徳川幕府と関係があるとか。もともとは、関東でも松の内は1月15日までで、年神様が天に戻られたあとの20日に、お供えしていた鏡餅を食べる「鏡開き」が行われていました。ところが、三代将軍徳川家光が亡くなったのが4月20日で、⒛という数字を忌み嫌うようになり、20日の鏡開きを11日に変更。それに伴い、松の内も7日まで、とされたというわけです。
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●初詣は神社にいくのが正解?

初詣は、神社限定と思い込んでいる人も多いようですが、そんなことはありません。神社でもお寺でもどちらでもOKです。

そもそも、神社とお寺が明確に区別されるようになったのは、明治時代の「神仏分離令」以降のこと。ほんの150年ほど前のことです。それまでは、「神仏習合」といって、日本土着の神様も仏教の仏様も、ほぼいっしょくたの信仰対象、といった時代が、1000年以上も続いていたのです。初詣が盛んになった江戸時代の頃も、神様も仏様も同じように信仰していた時代なので、大きな区別はありませんでした。

ですから、地域の氏神に詣でるもよし。菩提寺に参拝するもよし。その年の恵方にあたる有名な神社仏閣にお参りするもよし。特に縛られる必要はありません。ちなみに、2019年の恵方は、東北東です。

なお、神社では、死を汚れとみなします。身内が亡くなった人の場合は、50日の間は神社での初詣は控えるようにしましょう。

●神社とお寺では、参拝の仕方はどう違うの?

初詣に限らず、神社とお寺では、参拝の仕方が違います。ご存知の方も多いとは思いますが、おさらいしておきましょう。

神社の参拝方法
(1)鳥居を手前で一礼してからくぐる。
(2)境内を歩くときは、右はじか左はじを(中央は神様の通り道)
(3)手水場で手と口を清める(右手で柄杓を持ち、水を汲む→柄杓の水1/4量くらいの少量で左手を清める→柄杓を左手に持ち替えて、同様に右手を清める → 右手に柄杓を持ち替え、左の手のひらに水をため、手のひらを口に近づけて口をすすぐ → 柄杓の水で左手を清める → 最後に柄杓を縦にして柄に余った水を流して清め、元の位置に戻す)
(4)本殿前では、お賽銭を静かにお賽銭箱に入れ、鈴を鳴らす。その後、姿勢を正して、二礼二拍手、祈りを捧げてから、一礼。
(5)鳥居を出る時も、境内を向き、一礼してから出る。

お寺での参拝方法
(1)山門の前で一礼して入る。この時、敷居は踏まず、またぐのがマナー。
(2)手水場で手と口を清める(やり方は神社と同じ)
(3)線香を求め、火をつけて線香立てに立て、煙を浴びて、身を清める。
(4)本堂では、本尊に一礼し、お賽銭をお賽銭箱に入れる。鳴らし物があれば1回打ち、合掌して祈る。一礼して終了。

実のところ、混雑した境内では、やむを得ず神様の通り道のど真ん中を歩くことになったり、お賽銭を放り投げないわけにはいかないなど、マナー通りにはいかないことも少なくありません。

とはいえ、お寺で拍手したり、神社で拍手しなかったりするのは、大人の男として、いかにももの知らずの感じで恥ずかしい。また、手水で口を清めるときに柄杓に直接口をつけたり、お寺の山門の敷居を踏みつけたりするのは、恥ずかしさの極みです。くれぐれもご注意くださいませ。
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●お賽銭はいくらぐらいが適当?

お賽銭の金額の前に……。お賽銭とは、神様にお願いごとをするためのお金、と思っていませんか? 実は、それ、大きな間違い。

お賽銭の「賽」という文字は、福を授かったお礼に神仏にお参りをする、という意味。つまり、お賽銭とは、神様や仏様に、願い事を叶えてもらったお礼のお金なのです。

ですから、寺社で手を合わせて祈る際も、「今年もいい年でありますように」などと願う前に、まずは、「無事、1年を過ごさせていただきありがとうございました」的なお礼の言葉を述べるのが、神様仏様に対するマナーですぞ。ご利益のためにも、マナー違反のないよう、ゆめゆめ忘れることなかれ。

で、お賽銭の金額ですが、当然ながら、決まりはなし。前の年の幸運に見合う、お賽銭を捧げましょう。

でも、どうせなら、縁起のいい金額をってことで、巷でウワサされる語呂合わせのいい金額をご紹介します。

最もポピュラーなのが、いいご縁がありますようにの意味を込めた5円。ご縁とは、結婚相手のご縁ばかりではなく、人とのご縁、お金とのご縁、学校とのご縁も含めるので、縁結びだけでなく、家内安全、商売繁盛、合格祈願などなどにも通じます。

この他、5円2枚(重ねてご縁がありますように)、20円(二重にご縁がありますように)、21円か31円(割り切れない数なので、夫婦や恋人同士の縁がきれずに長く続きますように)、5円8枚(末広がりのご縁)、41円(始終いい縁)、45円(始終いいご縁)、5円21枚の105円(十分にいいご縁)、485円(四方八方からいいご縁)、1129円(いい福)、2951円(福来い)、1万1104円(いい年)などなど。

反対に、好ましくないといわれているのが10円(遠縁)、65円(ろくなご縁がない)、85円(やっぱりご縁がない)など。500円玉は、これ以上の硬貨(効果)がない……。

いい語呂合わせを考えながら、一緒に行った人と笑い合うのも、混んだ寺社でのよい時間つぶしになり、ひいてはよいご縁につながるのではないでしょうか?

●初詣で買うべきものは?

せっかく出向いた初詣。どうせなら、そのご利益をより確かなものにしたい、という思いに応えるべく、初詣先の寺社では、さまざまなご利益のある品が授与されています。いくつかご紹介しましょう。

破魔矢/魔を破るための矢。魔除けと悪い運気を払ってくれます。前の年、あまり運がよくなかった場合にオススメ。矢のとがったほうを、その年の凶の方角に向け、神棚、あるいは自分の頭より高いところに飾ります。
お札/神社なら「神札」、お寺なら「護符」とよばれるもので、その家そのものを守ってくれるもの。神棚あればそこに、ない場合は自分の頭より高い位置に飾ります。
お守り/持ち主を守り、祈願成就させてくれるもの。お守りによって、さまざまなご利益があります。ふだんから身につけておきましょう。
絵馬/願いを叶える力があるといわれています。表面には絵が描かれているので、その裏側に願うごとを書き、所定の場所に奉納します。

なお、前の年に求めた破魔矢やお札、お守りは、年末に、いただいた寺社にお焚き上げ、として納めるのが、基本です。

とはいえ、年末は忙しい。いただいた寺社が遠方で出向けない場合もあるでしょう。その場合は、初詣の際に、初詣に出向いた別の寺社に、納めることも許容範囲とされています。初詣の時期は、各寺社にお焚き上げ専用の場所があるので、そこに納めます。

また、納める際は、感謝の意味を込めて、お焚き上げ料を賽銭箱に。金額としては、お札、お守りと同額が目安とか。少々高い? でも、そのお札等でご利益を得たと実感している場合は、少々高いお賽銭であっても、しっかり納めたほうが、さらならご利益につながるものです。ここはケチらず、がよいかもしれませんね。
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●おみくじで凶が出てしまったら、どうすればいい?

古代の日本では、国の祭礼の重要事項を決める時や、後継者を選ぶ際、神の意志を占うための籤引きが行われており、これがおみくじの起源。また、比叡山の高僧・慈恵大師良源が、信者の悩みに五言絶句で答えたことが、現在のおみくじの原型といわれています。

現在、おみくじの吉凶の種類は、取り扱う寺社によって、5段階だったり、7段階だったり。京都の伏見稲荷大社では、なんと17段階。明治神宮のおみくじには吉凶がありません。一般的な吉凶の順番を紹介すると、大吉>吉>中吉>小吉>半吉>末吉>凶。吉と中吉の順番が逆の場合もあります。

さて、そんなおみくじ。なんでも、初詣に行って行うことの人気ナンバーワンとか。初詣をした人の4人にひとりが、おみくじをひいているそうです。なのに、凶をひいてしまったら、暗くなるな、というほうが無理な話ではありますが……。

本来、おみくじは、吉凶判断のためではありません。おみくじに書かれている内容を生活の指針としていくことで、良い運はより良く、悪い運も現在の状況を方向転換してよい道を開くための神様からのアドバイスなのです。凶をひいてしまったときこそ、書かれていることを熟読して、深く理解し、実践していくことが大切。そういった点からは、凶のおみくじは、持ち帰ったほうがよいかもしれませんね。

その一方、おみくじを境内の木や結びどころに結ぶ、という風習もあります。古くから、「結ぶ」という行為には、霊的な意味合いがあり、神様とご縁を結ぶために行われます。つまり、よいおみくじの場合は、その成就を願って結ぶ。悪いおみくじの場合は、寺社に悪い運気をとどめて、神仏のご加護を願うために結ぶ、というわけです。ただ、その際は、縦結びにならないよう注意。縦結びは、死に装束にも使われる結び方。神様に失礼にあたりますから。

なお、凶のおみくじを結ぶ時、利き手ではないほうの手だけを使って結ぶと、その行為が修行となり、凶が転じてとなる、ともいわれています。

以上、本記事をご参考にして彼女と正しい初詣を楽しんでくださいね。

参考文献/「年中行事事典」(三省堂)「日本の歳時伝承」(アーツアンドクラフツ)「年中行事読本」(創元社)「日本のしきたり笑事典」(フォー・ユー)「江戸の祭礼と寺社文化」(同成社)「初詣の社会史」(東京大学出版会)「わが家の守り神」(河出書房新社)「大人の品格大全」(青春出版社)「鳩居堂の日本のしきたり豆知識」(マガジンハウス)「日本のしきたり」(廣済堂出版)「だから、うまくいく日本人の決まりごと」(幻冬舎)「日本人礼儀作法のしきたり」(青春出版)「葬儀・お寺・お墓・人生の後始末」(明石書店)「知っているとうれしいにほんの縁起もの」(徳間書店)

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