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2018.11.28

【生物学の結論】モテる男だけが、モテるワケ

映画やドラマはもちろん、私たちの日常はモテる、モテないで世界は回っている。シビアな自然界から私たちが得られるモテの策とは。進化生物学の目線から論じてみたい。

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文/宮竹貴久(進化生物学者)

すべてのオスは、メスにモテたい

「刺激」というと男女の恋愛に欠かせない重要な要素だが、なにもヒトだけが刺激にときめくのではない。たとえば、観賞魚のグッピーはオスのお腹にあるオレンジや赤の斑点が、配偶者を探すメスを刺激する。やはり色鮮やかな斑点の多いオスがメスにモテるのだ。

ところが鮮やかな斑点を持つオスは捕食者にも目立ってしまい、狙われやすいという代償を払っている。そんな危険を顧みずにメスへ必死のアピールをするオスの姿は、我々人間の目から見ればなんとも涙ぐましい。

しかし、そもそもなぜグッピーのメスはオレンジ色を好むのだろうか。その答えは餌にある。卵を産みたいグッピーのメスは、餌をより多く食べようとする。そんなメスが反応するのは大好きな餌のオレンジ色だと考えられている。つまり、オレンジ色に刺激を受けるというメスの感覚をオスが利用したというわけだ。

生物の恋愛は錯覚から始まる!?

これはセンサリー・バイアス仮説と呼ばれている。メスの「センサー(刺激を検知する仕組み)」に「偏り=バイアス」があって、派手な色や、餌と似た美味しそうな色から受ける刺激に敏感なメスを前に、その刺激を強く誇示するオスがモテるという仕組みである。

いったんこのような感覚的な好みがメスに生じると、オスが発する刺激は世代を超えてどんどん強くなるよう進化し、その刺激を好むというメスの性質もより強くなる方向へと進化する。

地球上にじつに色とりどりのファッションをまとった野生生物のオスが棲息するのは、この仕組みのためである。野生の生物界はモテるために頑張ったオスたちで満ち溢れているのだ。

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それでも野生のオスたちは努力する

メスはどんな”ファッション”を好むのか?

メスがどんなファッションのオスを好むのかは、生物の種類によってさまざまだ。アオアズマヤドリという鳥のオスでは巣などの建築物を作ってみせ、「甲斐性」をアピールする。せっせとオスは枝を運んではあずま屋を建築する。

愛の巣であるこのあずま屋作りのポイントは、いかに青い色で巣を飾り付けられるかにかかっている。この鳥のメスは、青色の刺激に惹かれる。森に棲むオスは青い色をした鳥の羽根を、街に棲むオスは青色の洗濯バサミやペットボトルの蓋を必死に運んできては巣のまわりに散りばめてメスにアピールする。

ときにはせっかくちりばめた青い装飾品がライバルのオスに奪われてしまうこともあるけれど、それにも落ち込むことなくオスは再び青い飾りを集めてはメスへのアピールを欠かせない。青だけではなく、黄色や白の飾りが人気になることもあるらしく、ファッションはときによって変わる。
アオアズマヤドリの巣。メスが大好きな青色を必死に集めた結果、洗濯ばさみやペットボトルの蓋、ペンなどがオスの巣の周りには散乱している。
アオアズマヤドリの巣。メスが大好きな青色を必死に集めた結果、洗濯ばさみやペットボトルの蓋、ペンなどがオスの巣の周りには散乱している。

クジャクの雄は”目玉の数”でモテ度が変わる?

クジャクでは、メスによるオス選びはもっとシビアである。クジャクのオスの羽にはたくさんの立派な目玉模様がある。メスにとって大切なのは、その数なのだ。

トロント(カナダ)での最近の研究によると、145個より目玉の数が多いときは、メスは目玉の数が多いオスにより惹かれるのだけれど、目玉が144個より少ないときには数は関係なかったそうだ。ちなみにもっとも目玉模様の数が多いオスは169個だった。

これはカナダのクジャクであったが、日本のクジャクでは目玉の数ではなく、オスの鳴き声によってメスの恋心は揺さぶられるようだ。そう。ファッションは、ところによっても変わるのである。

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オスは見た目が100%!?

オスは見た目が100%……オナガドリじゃなくて良かった!?

オスが長い尾をもつオナガドリにいたっては、メスは100%、見た目でオスを判断していることが研究者によって暴かれた。

スウェーデン人の鳥学者がオナガドリの尾をちょんぎって、別のオスの尾に接着剤でくっつけた上でメスがどのオスに惹かれるか観察した。果たして、多くのメスは目の前に突如現れた自然界ではありえない二倍の長さの尾を携えた超イケメンの整形オスにメロメロになったのだった。

ヒトはモテ度に10%の余白がある

果たして、野生に生きる彼らから我々が学べることは何であろうか。見た目磨きの重要性?それは確かにそうだ。しかし、「見た目が100%」の野生とは違い、ヒトの世界ではしばしば「見た目が90%」と言われる。ここがヒトの女性の難しいところだ。残りの「10%」は、もしかしたら知性であるかもしれないし、経済力や優しさといったものかもしれない。

ヒトに生まれた我々は見た目に加え10%の何か、より高度の何かを提供できなければ、DNAを残すことができないのだ。それを過酷と呼ぶのは簡単だ。しかし諦めたオスは野生の生物界では生き残ってはいない。過酷な運命を受け入れた上で、男たちにとって常に全力の努力が大切であることを野生のオスたちは教えてくれる。
  愛し合って子を育てるなんて建前もなんのその、安いコストで作った精子を撒きたいオスと、限られた卵子になるべく優秀な精子をつなげたいメスのあいだで巻き起こる「性的対立」の悲喜劇。なぜセックスに振り回されるのは男なのか、「女は敵」と思うのか、進化論で納得できる一冊。
愛し合って子を育てるなんて建前もなんのその、安いコストで作った精子を撒きたいオスと、限られた卵子になるべく優秀な精子をつなげたいメスのあいだで巻き起こる「性的対立」の悲喜劇。なぜセックスに振り回されるのは男なのか、「女は敵」と思うのか、進化論で納得できる一冊。

●宮竹貴久/進化生物学者

進化生物学者。岡山大学大学院環境生命科学研究科教授。博士(理学)。著書に『恋するオスが進化する』KADOKAWAメディアファクトリー新書、『「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術』講談社+α新書、など。

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