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2022.12.11

【第21回】豚骨ラーメン

都内の豚骨ラーメン。美味いのはどこだ?

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(LEON.JP)

豚骨ラーメン 山本益博 LEON.JP
ラーメンのスープを代表するひとつに「豚骨」がある。ラーメンのかなり初期からスープの素材として使われてきた。ラーメンの歴史から言えば、「豚骨」なしには語れない。「豚骨」「鶏ガラ」「野菜」などの食材からスープを引き出し、そこへ醤油味のタレを加えたラーメンが、東京を故郷とする、いわゆる「中華そば」の基本形、原型と言ってよい。

それが今では、「豚骨」が突出して、「豚骨ラーメン」というジャンルまで生み出し、一大勢力とまでになっている。では一体、「豚骨スープ」とはなにか?
ラーメン大全 山本益博 LEON.JP

「ラーメン大全」

西尾了一著。旭屋出版刊。スープの材料別、タレの味別、全国47都道府県のご当地ラーメンおよび、その地域を代表する有名ラーメン+世界各国の人気ラーメンの、これらすべてを学べる一冊。それぞれの項目ごとに、レシピから学べるように解説した本は、本邦初。そのレシピ総数は1301!  

西尾了一「ラーメン大全」によれば、なんと26種もの「豚骨スープ」の作り方が披露されている。

「豚から作ったスープである。鶏スープよりも濃厚な味わいのスープが作れるのが特徴である。一般にスープを作る上で豚骨を使うが、コラーゲンが多く、美肌効果や関節痛を和らげる効果もある。力強いコクがあるが、その分、独特の臭みがあり、下処理をしたり臭い消しの食材を使って対応する。また、その匂いを特長として活かしていくこともある。使用する部位は、ゲンコツ(大腿骨)、背ガラ(背骨)、豚頭、豚足、背脂などである」
火加減を弱火か中火で炊けば、透明なスープができ、強火にして炊けば白濁したスープが出来上がる。「ライト豚骨」や「濃厚豚骨」など豚骨バリエーションはこうして生まれ広がっていった。

「豚骨ラーメン」を初めて美味しいと思ったのは、博多の「一風堂」だっただろうか?東京の「中華そば」のあっさりスープに慣れていた者にとって、ポタージュのような「豚骨」スープは衝撃的だった。
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スープというよりなめらかなポタージュ。「愚直」のとんこつラーメン

愚直 山本益博 LEON.JP
▲ 中板橋、大谷口「愚直」の「とんこつラーメン」。
ここ数年、ラーメンを食べまわっている中で、極めて印象に残ったのが中板橋、大谷口「愚直」の「とんこつラーメン」である。街道に面した間口一軒の小さな入り口には「PORK BONE NOODLES」の看板が出ている。

「豚骨」の魅力満載のラーメンで、スープというよりなめらかなポタージュ。これに歯切れのよい麺が絡み、味わいの違うチャーシューが2種と、野太いメンマ、それに海苔とネギが添えてある。

言ってみれば、大胆にして簡潔な一杯で、初めて出かけた時は650円だった。最近、出かけたところ700円になっていたが、なんとも立派なラーメンである。ほとんどの客が「替え玉」を頼むのもうなずける。店主の体調によって、急に休むことがあるので、ツイッターで確認してから出かけること。
愚直 山本益博 LEON.JP

愚直

住所/東京都板橋区大谷口北町12-7セブンマンション1F
営業時間/12:00~14:30、19:00~20:30(予定)
定休日/木曜。月曜も不定休
Twitter/愚直(@guchokuitabashi)

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豚骨とさばぶしが見事にマッチング。「渡なべ」の「醤油ラーメン」

高田馬場「渡なべ」 山本益博 LEON.JP
▲ 高田馬場「渡なべ」の「醤油ラーメン」。
「豚骨ラーメン」の進化形、「魚介豚骨」で素晴らしいのが、高田馬場「渡なべ」の「醤油ラーメン」1000円。豚骨とさばぶしが見事にマッチングして、醤油味を引き立てている。
高田馬場「渡なべ」 山本益博 LEON.JP

渡なべ

住所/東京都新宿区高田馬場2-1-4
営業時間/11:00~20:00
定休日/無休
TEL/03-3209-5615
Instagram/渡なべ(@baba.watanabe)

この「魚介豚骨」が行きついた先が「濃厚魚介豚骨」で、東京駅KITTEビルの「松戸富田麺絆」特製つけめんがそれに当たる。店の品書きには「濃厚豚骨魚介極太麺」とあるが、いつか松戸の本店まで出かけ食べてみたいと思う。
ところで、今年も11月に「ミシュラン東京2023」が出版された。ラーメンは22軒がリストアップされ、うち3軒に星がひとつ付き、あとはビブグルマン。残念ながら、その22軒の中に「豚骨」を売りにするラーメン店が一軒も掲載されていない。

「ミシュラン」の調査員は、フランス料理の牛骨のブイヨンは評価するが、豚骨のポタージュは対象外としているふしがある。いつ、「豚骨」が売りのラーメン店が掲載されるか、注意深く見守りたいと思う。皿の中だけで評価するという「ミシュラン」なら「愚直」も「渡なべ」も十分にビブグルマンに値すると思うのだが。
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山本益博 LEON.JP 荻窪 ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!

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