【注目】手ぶら＆全天候型アウターの完成形はコレ!

手ぶら派に嬉しい多ポケットアウター、最近ではいろいろなブランドから出ていて注目されていますが、元々の出自はミリタリー。多ポケットでおなじみのMA-1はパイロット用ですし、M-65はアメリカ軍の正式アウターでした。

ところが、2000年以降はデザイナーズブランドから4ポケットのアウター（カバーオール）をモダンに昇華したアイテムが登場し始め、多ポケットアウターは機能的なトラベルジャケットとして定着。そこからユーティリティウェア専門のブランドや、アウトドア系ブランドからタウンユースのアイテムとしてリリースされるようになり、昨今の人気につながっているのです。

そんな多ポケットアウターのなかでも珠玉の出来栄えなのがこちらの一着。一見、シンプルなブルゾンですが内装には驚きの機能が隠されています。

こちらの"インサレーション シューティングジャケット"のスタンドカラーにはフードが内蔵され、センタージップの両サイドにあるジップを開くとこの状態。その名のとおり、腰部には銃弾を格納するポケットが並んでいますが、多彩なモジュラーポケットは使い方も自由自在です。インサレーション（中綿）には次世代ファブリックメーカー・ポーラテック社のパワーフィルを使っているので高い保温性があり、かつポケットを内装するシェル構造ゆえ、空気の層ができてさらに暖かいというメリットもあるんです。これだけの機能を備えながら、着ぶくれしないスマートなシルエットは、じつによく計算されています。

このジャケットを手掛けるのが「マウトリーコンテイラー」。"現行のミルスペックを引用し、都市生活における様々なシーンに対応するアクティブウエア"をコンセプトに、本格的なミルスペック対応のタウンウェアを作る話題のブランドです。デザイナーはミリタリーウェエアに精通し、「ホワイトライン」などを手掛ける「グランデッド」の藤原昌浩さんと柿迫恒儀さん。すべて黒で統一されたストイックかつハイスペックなコレクションは、昨秋ローンチするや、ファッション感度の高い方々のあいだで密かに注目を集めています。各部に使われているミルスペックパーツは、実際に米軍装備品を生産するメーカー品を採用しており、パーツの入手経路もさることながら国内の工場で縫製しているところにも妥協を許さない姿勢が現れています。

ファブリックには、スイス・ショーラー社の「シーチェンジ」を採用。ショーラー社はアウトドア＆スポーツギアに使われる機能素材メーカーの第一人者で、こちらの「シーチェンジ」もそのひとつ。松ぼっくりの構造に着想を得て作られており、寒さや雨風を感知すると繊維が閉じ、一方、暖かく乾燥している場合は繊維が開いて、衣服内温度と湿度を理想的な状態に保ちます。メリノウールをベースにしているため、素材感は上質なウールタッチですが、撥水性と防汚性をも備えています。

スライダーの引き手もグローブをしたまま開け締めしやすいように大きめのパーツを採用。こういった細かいパーツのひとつひとつにまで、しっかりこだわっているのが、厳しい環境に対応するミルスペックならでは。街中でも最強な理由は、こういうこだわりの集約にあるんです。

右腕に取り付けできるポーチ（別売り）には、防水ポンチョが収納されています。レイヤードすることで、さらに高い機能性を付加することができるのも、このブランドの特徴で、ミルスペックのレベルを高めていけるように設計されているんです。クルマで例えるなら、シンプルなボディに最新のパワーエンジンを搭載したシンガーポルシェ。まさに羊の皮を被った狼なウエアなのです。