• TOP
  • FASHION
  • ユナイテッドアローズの重鎮が公開! 遊びの気分で装う達人の+αな新スーツスタイル

2022.10.31

技アリ! プロの着こなしテク拝見【鴨志田康人編】

ユナイテッドアローズの重鎮が公開! 遊びの気分で装う達人の+αな新スーツスタイル

毎シーズン、ニューアイテムやトレンドが発信されるファッションシーン。しかしどう装うべきか分からない人も多いハズ。そこで着こなし自慢たちが、トレンドやシーズンを踏まえたコーディネートテクニックを特別に披露。長年服を着倒してきた経験から導き出されるリアルな技は、参考になること確実です。

CREDIT :

写真/鈴木克典 構成・文/長谷川 剛(TRS)

これからは個性的に着飾ることを楽しんで

鴨志田 康人 (ユナイテッドアローズ クリエイティブ アドヴァイザー)
セレクトショップの雄であるユナイテッドアローズにおいてクリエイティブアドヴァイザーを務め、米国きってのドレスの殿堂、ポール・スチュアートでも日本のディレクターとして活躍する鴨志田康人さん。服を見極めるセンスに加え、長年の経験から打ち出される洒脱な着こなしにも定評を得る人物です。

昨今は世界的に脱・ドレス化が進行するなか、鴨志田さん自身もカジュアルな装いで過ごす日が増えたとのこと。しかしそれでも、やはり男の一張羅はクラシカルなスーツだと語ります。

「確かにビジネスの現場において、本式のスーツを着込んでタイドアップまでこなしている人に出会うことは少なくなりました。軽快なジャケット&パンツでミーティングを済ませる機会も増えています。しかしだからこそ、スーツというアイテムの特別性が増しているように感じます。

わざわざスーツを着て出掛ける。つまり、特別なお洒落として装うこと自体を味わうスーツスタイルに、これからの方向性があるように感じます」
PAGE 2
鴨志田さんが敬愛するサルトリアであるリベラーノ&リベラーノ。この一着もそのフィレンツェの名匠にて2018年にビスポークにて仕立てたもの。ゼニア社のヴィンテージ・フラノを使っており、適度に香る重厚さがポイントです。
▲ 鴨志田さんが敬愛するサルトリアであるリベラーノ&リベラーノ。この一着もそのフィレンツェの名匠にて2018年にビスポークにて仕立てたもの。ゼニア社のヴィンテージ・フラノを使っており、適度に香る重厚さがポイントです。
そこで今回見せていただいたのが、鴨志田さんが昨今お気に入りとしている2つのコーディネート。お堅いルールに則したストイックな装いではなく、個人のセンスを十分に込めたお洒落を楽しむためのドレススタイルです。

まずはグレーフランネルのダブルブレステッドスーツをアンタイド+αで着こなしたコーデから拝見していきましょう。

「無地のグレースーツというと、制服的な印象を持つ人もいるかも知れません。しかしグレーフラノの一着はメンズスタイルの定番中の定番。ドレッシーでありつつ日常にも着回せる汎用性の高い一着です。ただしシングルブレストだと、着崩しが難しくなる場合があります。

その点、ダブルは首元にスカーフなどを挟んだり、タートルニットを一枚着込んで前ボタンを留めずに着ても軽妙なルックスに仕上がるもの。ぜひ皆さんにトライしてほしい一着ですね」

このグレースーツは4年ほど前に、リベラーノ&リベラーノにてオーダーしたもの。特別なリクエストは加えずお任せにて仕立てたもので、当然タイドアップにてカッチリと着こなすこともできる一着であると鴨志田さん。
PAGE 3

ワイドパンツに替えて今風の寛ぎ感を演出

▲ ジャケット31万2400円/モレック(THE BAR)。Tシャツはトム フォード、パンツはザ ロウ、シューズはエルメス、アイウェアはモスコット。ジャケット以外はすべて本人私物
「そしてこの装い、もうお気づきかもしれませんが、パンツだけ替えており、実はジャケパンスタイルなのです。本来の組下パンツはノーマルなテーパード型。こちらは今風の2プリーツのワイドシルエットが特徴。

フランスのベルナール ザンスの一本で、生地のトーンが、このリベラーノのフラノと似ていたのでスーツ風に合わせているのです。ワイドシルエットの着こなしはカジュアルではもう一般的。ですが、ドレスでもゆったり着こなしたい気分だったので、ちょっとアレンジしてみたというワケです(笑)」

確かにスーツ然としたルックスながら、今風の寛いだ洒落感が漂っています。さすがプロならではの+αなアイディア。非常にハイセンスなコーディネートとして完成しています。

そしてその寛ぎ感を支える小技のひとつがシルクスカーフ。グレーに馴染みやすいブラックの小紋ペイズリー柄の一枚が、優雅にして凛とした印象を高めます。

「ドレスシャツなどだと、スカーフの始末にコツを要しますが、このようにモックネックのカットソーなら、軽く結んで端をしまい込んでしまえるので、バタつくこともありません」
モックネックの首元に、きちんと収まったスカーフが小洒落ています。ブラックシルクの一枚はシャルベのもの。本人私物
▲ モックネックの首元に、きちんと収まったスカーフが小洒落ています。ブラックシルクの一枚はシャルベのもの。本人私物
二つ目のポイントはやはり足元。こちらもグレースタイルを引き締めるブラックカラーのスリッポン。見るからに軽快な一足です。

「シューズはボードイン&ランジのタッセルスリッポン。フラノスーツの風合いとタッチの揃うスエード使いがポイントです。こういった遊びの着こなしに、重厚なヒモ靴などは今の気分ではありません」
ルームシューズのような薄手かつ薄底の軽い仕立てが特徴的なボードイン&ランジのスリッポン。これは甲に房飾り付きのタッセルモデル。本人私物
▲ ルームシューズのような薄手かつ薄底の軽い仕立てが特徴的なボードイン&ランジのスリッポン。これは甲に房飾り付きのタッセルモデル。本人私物
加えて洒落ているのがパープルのソックスです。装いにおいてまとまり感は重要ですが、ダークスタイルの場合、あまりにワントーンにこだわると重苦しいルックスになる場合も。グレーに相性良く色気を感じさせるパープルを、さり気なく取り入れるところがニクいですね。
PAGE 4

味わい深いカラーで魅せる成熟した洒落感

そんな鴨志田流ドレスコーデの二番目は、今度こそ? のスーツスタイルです。ただしこちらも鴨志田エッセンスを色濃く反映させたカラースーツの装い。大人の遊び心を品良く感じさせる着こなしです。
この一着は鴨志田さんが自らディレクションを手掛けるポール・スチュアートのカラースーツ。イタリアの生地を使用しており、華やかにしてしっとりした光沢感が特徴。十分に色気を備えつつ派手すぎないところが実に魅力的。本人私物
▲ この一着は鴨志田さんが自らディレクションを手掛けるポール・スチュアートのカラースーツ。イタリアの生地を使用しており、華やかにしてしっとりした光沢感が特徴。十分に色気を備えつつ派手すぎないところが実に魅力的。本人私物
「この一着は自分が手掛けているポール・スチュアートのもの。1970〜80年代といった時代を彷彿させるワイドラペルのジャケットと、くすんだトーンの色使いがポイントです。個人的にもこういった味わい深いカラーが好みであり、スーツに用いることで非常に洒脱な印象になると思っています。

もちろんシリアスなシーンにはマッチしませんが、これからの時代のスーツスタイルは、より個性的であるべき。その選択肢としてカラースーツはぜひ多くの人に楽しんでほしいですね」

このコーディネートでは、あえてタイドアップをチョイスした鴨志田さん。華やかでありつつシックに引き締まった要素もしっかり兼備。メリハリを効かせたバランスの良いドレススタイルに仕上がっています。

「スーツスタイルの良いところは、シンプルに気持ちが高揚するところ。だから良い生地を使った本格仕立ての一着を僕は選んでいます。日常とはひと味違う特別な時間を楽しむ服装。これからは、そういった視点でのスーツの装いが増えていくように感じます」
PAGE 5
クロムハーツ ライダーズジャケット シルバー925
スモーキーなグリーンスーツのインに合わせたのはフライのサックスブルーシャツ。滑らかなポプリン生地が上質さを語ります。そしてVゾーンを彩るのは大柄のペイズリータイ。華やかさがグッと引き立つ上級な合わせのテクニックです。
大柄のペイズリーパターンもグレーベースにブラック柄ゆえに大胆かつ繊細。オレンジの小柄がほど良くアクセント要素となっています。
▲ 大柄のペイズリーパターンもグレーベースにブラック柄ゆえに大胆かつ繊細。オレンジの小柄がほど良くアクセント要素となっています。本人私物
「やっぱり今選ぶならタイはプリントタイですね。ジャカードタイは少々ヘビー。独特の“軽さ”を持つプリントタイが、こういったスタイルにはマッチします。もともとタイと言えば伝統的にもプリント仕様が王道ですからね」

グレーベースのネクタイはある意味シックで落ち着いた雰囲気。しかし大柄のペイズリーパターンゆえにアーティスティックで自由闊達な美観を胸元にもたらしています。クラシックな要素を軸にしつつも、遊びや個性を十分に取り入れて装うことが、これからのスーツスタイルということなのでしょう。
PAGE 6
スエードスリッポンはカルミーナ。虚飾を削ぎ落としたシンプルなモンクストラップが柔和なスタイルにマッチしています。角の取れた金バックルもポイントです。
▲ スエードスリッポンはカルミーナ。虚飾を削ぎ落としたシンプルなモンクストラップが柔和なスタイルにマッチしています。角の取れた金バックルもポイントです。7万4800円/カルミーナ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
仕上げの足元は開放的なカラースーツに合わせて、ブラウンスエードのモンクストラップを選択。中間色のスーツにマイルドなスエード靴がよく似合っています。

今回の写真ではあまり見えていませんが、靴に合わせてブラウンスエードのベルトはをしっかりチョイスしています。個性とルールと時代性。このミックスがやはり達人は抜群なのでした。
※掲載商品はすべて税込み価格です
鴨志田 康人 (ユナイテッドアローズ クリエイティブ アドヴァイザー)

● 鴨志田 康人 (ユナイテッドアローズ クリエイティブ アドヴァイザー)

セレクトショップのビームスを経て、1989年ユナイテッドアローズの創業に参画。バイイングから商品企画、店舗内装監修まで幅広い役割を担う。2007年には自身のブランド「カモシタ ユナイテッドアローズ」を設立。その他2019年より日本におけるポール・スチュアートのディレクションを手掛けている。日本を代表するドレッサーとしてもつとに有名。

■ お問い合わせ
ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 03-5772-5501

PAGE 7

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        ユナイテッドアローズの重鎮が公開! 遊びの気分で装う達人の+αな新スーツスタイル | メンズファッション | LEON レオン オフィシャルWebサイト