2016.05.09
"オヤジのためのコンパクト"がいま大きな転換期を迎えている 〜Vol.1〜
1970年代初頭に生まれた時は斬新なスタイルだったがすでにハッチバックもいい歳になった。エントリーモデルという枠を超えてスタイルのバリエーションは豊富になり、あらゆるニーズに応えてくれるように進化を遂げた。若かりし頃の相棒だったハッチバックをもう一度見直してみるのも悪くない。
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写真/森 浩輔 文/小川フミオ
Style01Premium Compact [プレミアムコンパクト]
もはやハッチバックは先進の技術を搭載したモデルも多く存在し実用車の域を超えた感がある。なかには大型サルーンに備わる高級装備を搭載したモデルまで用意されている。
いまホットなハッチバックは環境と安全性も秀逸
2015年秋に日本発売されたばかりのアウディ A3 スポーツバックe︱tronはその好例だ。全長4330㎜の小型ボディに、外部充電可能なハイブリッド・システムが組み込まれている。リッター23・3キロという低燃費に加え、高性能というのが魅力で、アクセルペダルを少し踏み込んだだけで驚くほどの加速性を発揮する。
AUDI [アウディ]
未来はフツウの姿でやってきた
市街地では52・8キロまで電気自動車として使える一方、カーブの連続する道ではスポーツカー並みの走りが楽しめる、実は熱いハッチなのだ。
周囲のクルマの存在を悪天候時や夜間でもとらえるレーダーセーフティパッケージと、追突事故の回避または被害軽減を効果的にサポートするCPAプラス(緊急ブレーキ機能)を選ぶことができて高い安全性を確保。
そのうえ、燃費とパワーを両立させたエンジンやボタンひとつでスポーツからエコまで走りのモードが変えられるダイナミックセレクト機能、さらに向上したハンドリング性能など、Aクラスで特筆すべき点は多い。
セーフティ技術は、存分にクルマを楽しむためにサポートしてくれる機能なのだ。ボディサイズからいってもパーソナル性の強いハッチバックは、実はとても使えるパートナーなのだ。
MERCEDES-BENZ [メルセデス・ベンツ]
コンパクトだけれど安全性は充実
Style02Sports Compact [スポーツコンパクト]
個性が分かれるスポーツコンパクト
一方で“オヤジのオモチャ”と言えるのが、純粋なホットハッチだ。’98年頃からはじまったエコ全盛の時代は減りつつあり、今またホットハッチ熱が出はじめ、オヤジの心をワクワクさせてくれる。
遡ればホットハッチの歴史は1976年に登場したフォルクスワーゲン・ゴルフGTIに端を発する。安価でありながら、必要にして十分な装備とヤンチャな走りがウケて世界中にその評判が広がった。
ゴルフGTIはドイツ発だが、伝統的にホットハッチが大好きなのはフランスだ。F1や世界ラリー選手権を統括する国際自動車連盟本部もパリ。自動車レースをはじめスポーツ競技を愛する国だけに、本来、実用性がウリのハッチバックにも、必ずスポーツモデルが設定されている。
プジョーといえば、読者のなかでも、1980年代に大ヒットした205GTIを覚えている人もいるだろう。見た目は小さくても1000㎏以下の軽さを活かして驚くほど俊敏。
特に細かいカーブが続くワインディングではスポーツカー並みに速く走ることができた。そんな205の血統を現代に受け継ぐ208GTiや308GTiは、目が覚めるような楽しさをもっている。
スタンダードの1・2リッター3気筒モデルも十分な力があり、同時にしっかりしたシャシーと、サスペンションのセッティングで、気持ち良くカーブを曲がれる旋回性能は秀逸だ。
PEUGEOT [プジョー]
ホットハッチといえば代表的な存在
ベース車のポテンシャルを活かしながら、チューニングを施したプジョーのハッチバック。マニュアルを操り、エンジンを高回転まで回した時の快感はほかに類がない。そこにはスポーツを愛するフランスの“熱さ”がある。