2017.06.21

彼女を笑顔にする、スペインの米料理専門店/「アロセリア ラ パンサ」(銀座)

文・写真/柏木智帆

最近、街のあちらこちらで見かけるスペインバル。タパスと呼ばれる小皿料理を中心に、さまざまな味が楽しめて人気です。でも、同じスペイン料理店でもこちらはちょっと趣向が違います。東京・銀座にある「アロセリア ラ パンサ」は、お米をメインにしたスペイン料理の店なのです。

カジュアルさと洗練さが同居した、開放感がある店内

「アロセリア」とは、スペイン語でお米料理専門店のこと。スペインではポピュラーですが、日本ではまだ2店しかありません。日本で初めてのアロセリアは、2012年に東京・代官山にオープンした「サルイアモール」。オープン5年後には2年連続でビブグルマンに掲載されています。そして、その姉妹店として、お米料理をより充実させて2017年1月にオープンしたのが、ここ、「アロセリア ラ パンサ」です。

地下鉄銀座一丁目駅から徒歩2分の角地にあるこちらの店は、道路に面した壁面すべてがガラス張り。全27席と広すぎず狭すぎずの適度な規模で、開放感がある店内には居心地の良い空間が広がっています。

角地に面した店舗は、適度な規模感で入りやすい雰囲気。

「日本ではパエリアと言えば、いまだに魚介のパエリアしか知られていませんが、スペインにはもっといろいろなおいしいお米料理があるんです」と話すのは、オーナーのビクトル・ガルシアさん。
もちろんタパスも充実していますが、こちらのメイン料理はあくまでパエリア。平たい鉄鍋で提供するタイプや、深い壷で提供するタイプなど、その形状はさまざまです。具材も肉、魚、野菜などバリエーションが豊富で、常時約15種類のパエリアを取り揃えています。

中でも人気なのは、「小海老のカルデロ」というパエリアの一種。「カルデロ」と呼ばれる鉄壷でお米と出汁を煮込むムルシア地方の伝統料理です。
スペインでは現地のボンバ米を使うのがポピュラーですが、この店で使っているお米は、なんと山形県産の「はえぬき」という品種。「煮込んでもお米がべちゃっとならず、粒が際立つお米です」とガルシアさん。一粒一粒にふっくらと張りがあり、絶妙なアルデンテが楽しめます。

小海老のカルデロ。具材はシンプルに海老のみ。「アリオリ」というニンニクマヨネーズと一緒に。

スペインのお米に比べて日本のお米はアルデンテを保つ時間が短く、パエリアにふさわしいアルデンテの状態で提供するためには技術が求められるそうです。けれど、こちらはアロセリアを名乗っているだけあって、仕上がりもさすがの安定感。ぷりっとして食べ応えがあり、クセになる食感です。
赤色の出汁はトマトベースかと思いきや、実は「ニョラス」と呼ばれる乾燥させた赤ピーマンと魚介。ニョラスを軸とした出汁で煮込んだお米料理は、他ではなかなか出会えない味わいです。

「鴨肉とボルニーチ茸のパエリア」や「イカ墨のパエリア」などが女性に人気ですが、ガルシアさんが「うちの隠れエースです」と紹介してくれたのは、バスク地方伝統の「アサリの白いパエリア」。鯛の頭でとった出汁とアサリの出汁がぎゅっと詰まった濃厚な味わい。アサリとパセリとニンニクというシンプルな具材ながらも、迫って来るような旨みによって満足感の強い料理に仕上がっています。

アサリの白いパエリア。出汁を吸った米粒を噛み締めると、口いっぱいに旨みが広がる。

いずれのパエリアも味がしっかりとしているため、それ自体を肴にしてワインとのペアリングを楽しむのもオススメ。スペインワインは常時60種類以上を取り揃え、グラスワインも3種類ずつ用意しています。

たとえば、魚介のパエリアとのペアリングならば、ガルシアさんのオススメは、シェリーのマンサニージャ。すっきりと爽やかな辛口で、食事にぴったりです。お酒があまり強くないという女性には、ミネラルがしっかりとした白か、少しボディのある白を。わずかに酸味のあるチャレロや、ミネラル感のあるゴデージョなどを合わせると、食事もお酒も進みます。

料理を3、4品頼むと、パエリアはふたりで1種類の量がベスト。あれもこれもとおいしそうなパエリアに目移りしてしまい、一度訪れると再訪は間違いなし。肩肘張らない雰囲気ながらも、洗練された大人のカジュアルレストランです。

■アロセリア ラ パンサ(Arroceria La Panza)
住所/東京都中央区銀座1−15−8 1F
営業時間/17:30〜23:00(ディナー)
定休日/日曜日
URL/http://la-panza.com/
予約・問い合わせ/☎︎03−6228−6793

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