2016.09.12

結果たどりつくのは新時代のブリティッシュ

※本特集は2016年9月号で掲載した企画の抜粋です。

"アガリのクルマ"と言われ続けた英国車。
その理由は、高級感溢れる内装と落ち着きのある走りにほかならない。
ただそれは、もはや過去の話と言えるかもしれない。今日の英国車はいたって攻撃的で
刺激的。今回はそんな魅力的な英国車を厳選3台キャッチアップしてみた。

高級路線を突っ走る英国車のこだわり

英国車の歴史は、ドイツやアメリカと比べれば比較的浅い。自動車の誕生が1885年。アメリカのフォード社は1903年に誕生。しかし、英国のロールス・ロイス社の創設は1906年と、産業が栄えていた国にしては遅めのスタートと言える。けれど、英国には後発だからこそのこだわりがあった。それが高級路線を徹底させることだ。英国のクルマ作りの基本コンセプトは、コストを度外視し、最高のパフォーマンスを発揮させることへの注力だった。“高級車の真髄に触れるなら英国車、英国車の真髄に触れるなら高級車”として世界中から愛されてきた。ただ、そういった独自の路線を追求するあまり、経営難に陥るメーカーが近年続出し、今では純粋な英国車メーカーは皆無と言っていい。

それぞれ他国企業のサポートによってブランドを維持しているのが実情だ。興味深いのは、ドイツのフォルクスワーゲングループに属した、ベントレーやインドのタタ社が資本を握るジャガー、BMW傘下のミニやロールス・ロイスなど、すべて同様に、どの国の企業に属してもしっかり英国車らしさをもち続けているところ。つまり英国車には強烈な“らしさ”があるのだ。

そんな歴史をもつ英国車がゆえに、いまもそれぞれの“らしさ”が実に明解だ。例えば、ロールス・ロイスは徹底した高級ラグジュアリー路線を追求。ベントレーは走りもラグジュアリーを突き詰めた最高のパフォーマンスが魅力で、ジャガーは美しさを、アストンマーティンは純粋に速さを求めたクルマ作りを徹底している。

BENTLEYベントレー



世界最高峰のドライバーズカー

Bentley Mulsanneベントレー ミュルザンヌ




3モデルそれぞれに個性がある / ラインナップはミュルザンヌのほか、25馬力高められたミュルザンヌ・スピードの2車種が日本に導入される。ともに価格未定/ベントレー(ベントレー・コール)

5800ものパーツで構成されるミュルザンヌ。内装のウッドだけでも40ピースを誇り、インテリアの仕上げに150時間を要する。ミュルザンヌ・スピードはブラックポリッシュのエンブレムも用意。

そんななか、ベントレーの最高級モデルであるミュルザンヌがビッグマイナーを果たした。ミュルザンヌと言えば、英国きってのラグジュアリードライバーズカーとして1980年に誕生。その後アルナージと名前は変わるものの、2010年にミュルザンヌの名が復活。2012年のエリザベス女王即位60周年記念式典をはじめ、英国王室公用車として移動や送迎に使われていたことでも人気を博した。今年6年ぶりに生まれ変わった新型ミュルザンヌは、デザインも装備も一新。インテリアはインフォメーションシステムをアップデイトし、タッチスクリーンも装備。60GBのハードディスクが内蔵されるなど、より現代的に進化を遂げた。けれど最大の変更点はグリルを中心としたスタイリングにある。

グリルは横幅が80㎜大きくなり、ルーバーが縦型になったことが最大の見ドコロだ。初代ミュルザンヌを彷彿させる縦型ルーバーによって、より威厳のある精悍な印象へと生まれ変わったのだが、この真意を本国の担当者にたずねると「これまでのベントレーは、どのモデルであってもすぐにベントレーとわかるアイデンティティを重要視してきました。その結果がスポーティなメッシュグリルの存在。今回のモデルチェンジによって、さらに一歩踏み込んで、コンチネンタルシリーズにはないミュルザンヌ独自の存在価値を高めたのです」とのこと。けれど、それで終わらないのがベントレーのニクい演出。縦型ルーバーの奥にしっかりメッシュグリルを隠しもっているのだ。走ることを楽しむためのドライバーズカーとしてのマインドがそこに見て取れるが、その印象は実際に走らせた時も同様に感じられるのだった。

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