2015.11.09

クルマヒエラルキー大変革時代到来か!? Vol.1

重厚さよりも軽快さを。パワーよりもスピード感を。そんな具合に、いま物事の価値の優劣は大きな変化を遂げているように思う。で、それはクルマにも同じことが言える。スペックの高さや絢爛な装飾性が必ずしもヒエラルキーの頂点にあるとは限らなくなってきたのである。

熾烈なパワー競争はついに終わりを迎えた

V6よりもV8、17インチよりも18インチといった具合に、たとえ同じモデルでもグレードによって差をつけるのはクルマ業界ならではの戦略だ。一方で、ドイツ車に多く見られる手法だが、同じデザインソースを用いて、ボディやスペックをサイズダウンさせてエントリーモデルの買い得感を高める手法は近年のクルマ業界におけるトレンドと言えるだろう。

そんな具合に、クルマには確固たるヒエラルキーが存在する。もちろん価格の高いほうが高性能で高級なのは今も昔も変わらない。けれど、その価格差が直結してヒエラルキーの高さを表すか、本当にイバリが利くか、と言えばどうもここ最近は変わってきているようだ。

タイヤの太さは明らかに違うし、今も昔もAMGのエンブレムは誇らしげだ。けれど今はブルーテックが気になってしまう。それが時代の流れなのかもしれない。

例えば上の写真。同じメルセデス・ベンツのGクラスで価格差は800万円に及ぶ。もちろんスペックや装備の豪華さで言えばG 63 AMGに軍配が上がる。けれど、燃費が良くて地球にも優しいことを表す低排出ガスステッカーと、クリーンディーゼルエンジンを主張する「BLUETEC」のエンブレムを付けているほうがどこかお洒落でインテリジェンスではあるまいか。

それは中古車市場も顕著に物語っていて、編集部調べによるとG 63 AMGの3年後の買取率は約55%。対してG350ブルーテックは70%に達するそう。G350は価値の目減りが特に少ない、まさに買って損のないクルマの大代表と言えるのだ。

こちらは歴代ポルシェ911。年々性能は上がり、見た目もLEDを多用したりと、明らかにスタイリッシュかつモダンになった。にもかかわらずヒエラルキーの上に立つのはやはり空冷なのだ。

一方でポルシェ911は独特だ。性能や快適性、維持の手軽さなら最新の911が圧倒的に有利である。ところが、実際に2013年式の997型に乗っているオーナーに話を伺うと、信号待ちで964、930、はたまた73カレラに並ばれると、どこか悔しい気持ちになると言う。きっとそこには空冷エンジンに対するリスペクトがあり、90年代には考えられなかったポルシェ独特の世界がそこには広がっているのだ。パソコンや携帯電話といったデジタルガジェットではあり得ない機械製品ならではのヒエラルキーと言えるかもしれない。

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