しあわせグルマ

Rolls Royce Wraith×Tsuki

Rolls  Royce Wraith×Tsuki

しあわせグルマ

Rolls Royce Wraith×Tsuki (1/2)

※本特集は2015年10月号で掲載した企画の抜粋です。

目に見えないものには、ミステリアスな魅力があります。むしろ見えないからこそ興味をそそられてしまうわけで、今回は”幽霊”と名のつくクルマで、ひっそりと隠れた伊豆のお宿へ──。

 

幽霊のように隠れられるお忍びの旅へ

真にモテるオヤジさんに共通していることって何でしょう。リッチだからとか遊び上手だから、というのでは核心を突いた答えではありません。ではいったい何なのか。それは、ですね。総じて自己主張が控えめである、ということ。わかりやすく解説すると、最初から「こんなにいろいろ魅力がありますよ」と開けっ広げに全力でアピールするのではなく、それを小出しにしていくのですね。そのひとつひとつを目の当たりにすると、女性は「まだ知らないこの人の別の顔がある」なんていうふうにもとらえてくれたりする。

hcl_0627_01

タダモノじゃないクルマでも安心 / 県道から奥まった場所にある隠れ宿ですから乗りつけるクルマが、レイスぐらいインパクトがあっても問題なし。つまり、宿の敷地全体がひっそりとしており静かな滞在を楽しめるということなのですよ。

そうなると“ミステリアスなオヤジさん”という印象となり、もっと知りたくなってしまうのです。というように、見えないことは悪いことではなく、いいことでもある。多少遠回りにはなりましたが今回、乗ったクルマはスコットランド語で“幽霊・生霊”という意味をもつ、ロールス・ロイスのレイスです。このメーカーといえばネーミングセンスが秀逸なのも特徴。現状のラインナップでもファントム(亡霊)、ゴースト(幽霊)なんていうように見えないものが勢揃い。これらの出自となるのが往年の名車、シルバーゴースト。20世紀のはじめに誕生したこのクルマのエンジンが、かかっているのかいないのか、わからないほどに静かで幽霊みたいな存在だったそうです。考えてみれば当時はクルマがうるさいのは当たり前。その時代に常識を覆したロールス・ロイスですから、レイスもやはりタダモノではありませんでした。

そして訪れたのは、こちらもミステリアスな場所にある宿「月」。事前にパンフレットを見る限り、詳細な地図は載っておらず“隠れ宿のため詳しい道順についてはお電話にてお伝えします”とのこと。こういう演出もドキドキやワクワクを高める要素となるため、実にお泊まりドライブデートの目的地としてうってつけ。で、実際に行ってみると、やはり奥まったところにひっそりと佇み、人の気配が圧倒的に少ない。ということで隠れたがりなオヤジさん、お待たせしました。きっちり隠れることができる宿なのです。そうはいっても9年前からある宿、これまで知る人ぞ知る、というように常連さんに愛され、隠され続けてきたのですね。このとっておきの宿を目指し、レイスを走らせた今回のドライブは浮世離れしたクルマの効果もあり、別格なものとなったのでした。

 

運転するから得ることができる旅の悦びを満喫

hcl_0627_02

Rolls-Royce Wraith[ロールス・ロイス レイス] 
流麗なデザインを纏ったロールス・ロイスで唯一のファストバッククーペモデル。史上もっともダイナミックでパワフルなロールス・ロイスと謳うだけに、エンジンはV12気筒のツインターボ。大柄にしてわずか4.6秒で時速100㎞に達する性能を誇ります。/全長×全幅×全高:5280×1945×1505㎜ ホイールベース:3110㎜ 車重:2430㎏ エンジン:6592㏄ V12気筒 DOHC直噴ツインターボ 最高出力:465kW(632ps)/5600rpm 最大トルク:800Nm(81.6㎏-m)/1500-5500rpm 価格:3300万円/ロールス・ロイス(ロールス・ロイス・モーター・カーズ)

 

近年、まれに見るおもてなしグルマです

世の中にはいろいろなクルマがありますが、ロールス・ロイスに乗ったことのあるオヤジさんは、そう多くはないはず。なので、どんなクルマなのかと思い目の当たりにしてみると、存在感がすこぶる強烈。これじゃあ隠れられないでしょうと思いきや、乗り込んでみるとこれが別世界。遮音性に優れた窓としっかりとしたボディパネルによって、外界をシャットアウトしてくれるのです。つまり、よりふたりきり感を高めてくれるわけで「クルマで隠れるって、こういうことだったのか」と思い知らされた次第。いやいや、大人になってもまだまだ知らないことって、たくさんあるのですね。

もちろんその乗り心地も未体験だったわけで、アイドリングからして静けさたっぷり。コラムシフトのギアをドライブに入れて高速道路を走らせれば、路面の継ぎ目などのショックをサスペンションが絶妙にやわらげてくれるので、上質なリビングにいるかのような快適さ。それゆえに、ハンドルを握っていても、このクルマが路面からちょっと浮いているんじゃないか、と思うほどにスムーズでスマートな乗り心地です。で、ひと度アクセルを踏み込めば6・6リッターのツインターボがもりもりとトルクを効かせて、大きなボディを引っ張ってくれます。

hcl_0627_03

久々に夢あるクルマに出会えました / 室内のルーフにはオプションとなる、スターライト・ヘッドライナーが装備されており、1340本の光ファイバーで満天の星空のよう。またホイールのセンターには「RR」のロゴが鎮座しており、タイヤが回転していても、常に正対を保っているのも特徴のひとつです。

そしてレイスは伊豆高原周辺のタイトなコーナーも楽しく走ることができるのが特徴。かといって攻める気分になるはずもなく、いかなるシーンでも、ゆとりをもったドライブが可能。いわゆるスーパーカー的なクルマに乗ると、速く走らなきゃという焦燥感にも似た感覚にとらわれがちですが、レイスにはそれがないのです。ワンランク上のクラス感だからこその余裕なのかもしれません。

hcl_0627_04

レイスが似合う大人になりたいですね / ボタン操作で閉められるコーチドアは、狭い場所での乗り降りには不便。しかし、それができる余裕があるお方には、これ以上ない便利で洒脱な機能。内装に使われるレザーはファントムと同じグレードのものでモダンデザインのウッドパネルが心地よい車内を演出。これまたボタンひとつで飛び出す専用の傘は、できれば貴兄が彼女にさしてあげてください。

そして、忘れてはならないのがドアヒンジを後方につけた、ロールス・ロイス独自のコーチドア。見た目のインパクトもさることながら、スカートをはいた女性でも足元を気にすることなく乗り降りできる実用性に加え、Aピラーの下には傘が収納されており、雨の日だって心配なし、という万能っぷり。ドライバーズカーとしてのレベルの高さに加え、おもてなし度も抜群なので、ドライブデートのふさわしさからいえば、ここ最近ないくらいの大ヒットでした。

 

次のページへ
何度でも隠れに行きたい真の隠れ宿でした

Related