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怒涛の年だったのは、ゼンマイだけにあらず……

1969年、時計業界に何が起こったのか?
〜vol.2〜

怒涛の年だったのは、ゼンマイだけにあらず…… 1969年、時計業界に何が起こったのか?〜vol.2〜

Feature

怒涛の年だったのは、ゼンマイだけにあらず…… 1969年、時計業界に何が起こったのか?〜vol.2〜 (1/2)

1969年は時計を語るうえで欠かせない年なのです。
1969年の時計業界は、時代を大きく変化させる発明がたくさん生まれました。
しかもその時計のDNAは、さまざまな形となって現代へと受け継がれています。
そのなかから代表的な3つのモデルを紹介していきましょう。

IWC [アイ・ダブリュー・シー]

ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフ/454万円

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左・クオーツムーブ「ベータ21」を搭載したダ・ヴィンチの初代モデルは1969年に誕生。モダンな意匠で、最新技術をアピールしました。
右・大規模リニューアルで時計技術をアピール/オリジナルモデルは「ベータ21」を搭載したクオーツ式。それ以降はIWCの最新技術を搭載するコレクションとして進化を続けています。注目の新作は、パーペチュアルカレンダーとクロノグラフ、ムーンフェイズを搭載したコンプリケーション。可動ラグのおかげで着用感も良好です。自動巻き、18KRGケース(43㎜)、アリゲーターストラップ。4月発売予定/IWC

Tag Heuer [タグ・ホイヤー]

ホイヤー モナコ/61万5000円

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左・ムーブメント「クロノマチック」は、9時位置側にリュウズを配置する特殊な設計になっていましたが、このルックスも人気の理由でした。
右・現行モデル・すべてが前衛的な時計は今もその哲学を継続/世界初の自動巻き式クロノグラフムーブメント搭載の「モナコ」は、同時に世界初の防水角型スポーツウォッチでもありました。映画『栄光のル・マン』にて名優スティーブ・マックイーンが着用していたことから人気に火がついたこの時計は、今でもほとんど姿を変えることなく受け継がれています。自動巻き、SSケース(39㎜)、レザーストラップ/タグ・ホイヤー

Seiko [セイコー]

アストロン エグゼクティブライン 8Xシリーズ デュアルタイム /25万円

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左・10年もの研究期間を経て1969年に発売した「クオーツ アストロン」。45万円という当時の販売価格は、クルマよりも高額だったそう。
右・高精度技術は第二段階へ/世界初のクオーツウォッチ「クオーツ アストロン」は、時計史に残る傑作ですが、その“アストロン”の名を受け継いだのが、世界初のGPSソーラーウォッチ「セイコー アストロン」。こちらは第2世代にあたる最新モデル。クオーツ、Tiケース(46.1㎜)×ブレスレット。6月発売予定/セイコー(セイコーウオッチお客様相談室)

腕時計は1900年代初頭に開発され、1940年頃には懐中時計に代わって時計の標準スタイルとなりました。
腕時計用の小さなムーブメントで高い精度を実現させるためには、常にゼンマイのトルクをフルパワーにしておくことが大切。
そのため腕に付けている限りはゼンマイを巻き上げ続ける自動巻きムーブメントが好まれました。
特にたくさんのパーツを使用するクロノグラフ機構の自動巻き化が急務となり、多くの時計メーカーの開発競争がスタート。
そして1969年に、タグ・ホイヤー、ブライトリング、ハミルトン、デュボア・デプラの4社連合によって世界初の自動巻き式クロノグラフムーブメント「クロノマチック」が完成したのです(同年にはゼニスとセイコーからも、自動巻き式クロノグラフが誕生しています)。
しかしその一方で、さらなる高い精度を追求するための新しいテクノロジーの研究も進んでいました。
スイスではスイス電子時計センターが、世界初のクオーツ式ムーブメント「ベータ21」のプロトタイプを製作。
さらにはセイコーがクオーツ式ムーブメントの量産化に成功して時代の寵児となり、その影響でスイス時計業界は一気に衰退していきました。
つまり1969年の時計には、栄枯盛衰のドラマがある。だからこそ魅力的なのです。

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1969年にはこんなこともありました

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