フォトグラファー仁木岳彦のイタリア日記

イタオヤ列伝 – numero 2 : Lino Ieluzzi – リーノから読み解くSimpatico(シンパティコ)論。

仁木 岳彦
上智大学新聞学科卒。旅の途中、イタリアにただならぬ縁を感じ、2000年からミラノ在住。撮影対象は興味の赴くまま、テーマはむしろ神々しい光の空気感。

イタリアに住んでしばらくすると、何かと
耳にする、ある言葉が気になってくるんです。
「彼って、Simpatico(シンパティコ)だよね!」
と言う時のイタリア人の意味ありげな表情を
見てみていれば、いかに重要な事を
言っているかが、想像がつくことでしょう!
どうも、最上級の褒め言葉みたいなんすよ。

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「Simpatico(シンパティコ) 」を辞書で引くと、
「感じのよい、好感の持てる、親しみがわく様な、
愛想の良い、愉快な」と言った意味なのが
分かります。辞書ではなくて、僕の体感から
得た解釈だと「フレンドリーで、お茶目で、
気持ちが通じやすそうな奴」と言った感じ。

東洋では仁義礼智信などと言いますが、、、
イタリアでは、それを超えた最上位の「徳」が、
どうも、この「Simpatico(シンパティコ) 」なのです。
だから、例えば「誠実な奴」、もしくは
「できる奴」などよりも、当然大事なんすね。
地中海とイタリアを読み解くには、最重要な項目と
言えるでしょう!!!
そして、この概念を体全体で表現しているのが、
まさに、この人、Linoと思うんです。ミラノの
伝説のセレクトショップ「Al Bazzar」のボス。

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僕は多分、数百人、もしかたら、それ以上の
イタリア人のポートレートを撮ってきたと思うのですが、
彼がダントツで「Simpatico(シンパティコ)」と、
あくまで私見として断言します!!!
僕のポートレート写真のポートフォリオ
(売り込み用に使う写真アルバム)、または
コンポジットカード(名刺代わりにつかうミニアルバム)を、
ミラノのファション業界の人達と見ていると、
みんな一様に彼の写真の所で止まって、
「Liiiiiiiiiino!!!」と、笑顔で声をあげるです。
不思議なくらいの圧倒的な求心力に、いつも驚かされます。

イタリアの最先端のファッションを引っ張る
若い世代なんかは、絶対に自分達の方がオシャレで
イケテルと思っているはずなんすよね!!!とは言っても、
彼らが学生時代なんかに、リーノのお店で
お世話になったり、ファッションについて
教わったりした想い出が頭をよぎるんでしょうね。
リーノの話をしているうちに、そもそも、
自分がどうしてファッションに興味を持ったかなど、
深く本質的な話に突入する事が何度もありました。

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兄貴分のリーノにはどこか、借りがあると言うか
なんというか、どうも頭が上がらない感じ。
僕も、なんだかわからない彼のイタリア的な愛情の
包容力にやられてしまう感じが想像できます。
彼に会えば、誰もをイタリア好き、
ファッション好きにしてしまうのではないかと
思うほどの魔力。
仕事上、気になったアイテムについて
質問することがあるんですが、、、それに
まつわる友人との想い出話や、エピソードなんかが
出てきたりするんです。ファッションが、
もはやモノじゃないんすよね。想いのオーラを
纏っているような感じ。

義理堅いところもあり、僕の写真の個展の
オープニングにも、「Al Bazzar」のナンバー2の
ジャンパオロと来てくれました。正統派イタリア紳士の
登場に、ピリッとした空気が画廊に流れました。
気持ちが嬉しいっすよね。

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今や、ファッションブログの常連として、
若者の間でもすっかり有名人なLinoですが、、、
それはともかくとして、もはや、イタリア的に
最重要なコトである「Simpatico(シンパティコ)」の
心意気を体全体のオーラで表現している、次元を
超えた彼の境地こそが、なによりも大事な気が
しているんです。コミュニケーションが、
「論理や整合性」よりも、「気持ちと愛情優先」と
言うことでしょうかね。これぞ、イタリア人の
持つ人間力の醍醐味なんすよね!

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