フォトグラファー仁木岳彦のイタリア日記

ニース近郊、香水のメッカ

仁木 岳彦
上智大学新聞学科卒。旅の途中、イタリアにただならぬ縁を感じ、2000年からミラノ在住。撮影対象は興味の赴くまま、テーマはむしろ神々しい光の空気感。

南仏ニースに用があって、行ってきました。あの辺は、
コート•ダジュールと呼ばれているわけですが、
フランス語で「青い海岸」という意味だとか。なんとも
風光明媚。なるほど、人が集まってくるわけっすよね。

IMG_4167-copy
僕が住むミラノからはクルマで4時間弱、電車で
4時間強ですので、日帰りコースではありませんが、
数日あれば、無理なく行ける距離。西隣には
映画祭で有名なカンヌ、東隣にはF1開催などで
有名なモナコがあります。なんとも華やかな土地柄!

そして、前からニース訪問の際には一度は
足を伸ばしたいと思っていたのが、ニースから北へ
一時間程のグラースという街。香水のメッカとして
有名な所なんです。世界の香水の2/3は、
ここで製造されるとか。

しかし、フランス人っていうのは、本当に香りに
うるさい人達っすよねー。ワインとか、香水とか。。。
「瓶につめて綺麗なチケットを貼って、付加価値を
つけて売る」という黄金方程式を見つけ出したのも彼ら。
良く言えば、太陽と土地の恵みに感謝して、
その価値を最大限に認めて、ブランドとして存分に
昇華して行くというイメージでしょうか。
地中海の太陽に照らされて、花畑も咲き乱れていました。

DSCF3105_Snapseed
それはともかく、グラースのある香水工房には、
自分の香水がつくれる特別ワークショップが
あるんっすよ! 随分前から、自分で香水を
調香してみたいという野望があり、今回はそれを
叶える事にしました。

ところで、ヨーロッパの香水には通常3種類の
「香りのノート」があります。ファースト•ノートは、
香水をつけて最初の10分程に放つ第一印象の
華やかな香り。セコンド•ノートは数時間漂う、
いわゆる香水本来の香り。香水を選ぶ時はこれを
基準にすると良いとの事。サード•ノートは、
肌に暖められて、カラダと一体となって、
最後まで引っ張る香り。

香水に関して、以前ちらりと書いた文章が
ありますんで、もし良かったらどうぞ。。。
http://milanophoto.blogspot.it/

興味深いことに、そんなヨーロッパの香水に対して、
アメリカ系の香水は、このノートの移り変わりが
少ないモノが多いと聞きました。面白いですね。。。
要するに、アメリカでは、香りの種類が時間軸で
変化しない香水が好まれるのです。

クルマ文化の違いと、どこか似てませんかね?
ヨーロッパでは、今でもマニュアル車が普通で、
レースといえば、コースも変化に富んだF1が有名。
対して、アメリカでは、ほとんどオートマの独壇場。
そして、レースと言えば、単調なサーキットを
とにかく猛烈なスピートで走りまくる
インディー500が有名ですからね。

IMG_4181_Snapseed
しかし、クルマ文化と香水文化に通じる、
「この違いって、何なんだろうなあ?」という
哲学的な妄想にひたってる暇はなく、、、、
香水作りに励みました。

まずは、ベースとなるサード•ノートから
作って行きます。重い印象の香りで、長く香る
香料から選ぶのですが、、、この段階で、女性用か、
男性用か、もしくは共用(ユニセックス)の
香水を作るのかを決めなくてはなりません。

IMG_4206_Snapseed
僕は男性用の香水が、あまり好きではないので、
共用の香水を作る事に。多くの男性用香水には、
スポーツタイプのシャンプーなどにも含まれる汗を
包み込むような、ある香りが共通して入っている事が
以前から気になっていました。今回分かりました、
その正体が。。。。ラベンダーの一種だそうです!
これが、個人的にあまり、得意じゃないんっすよね。
このせいで、香水が嫌いな男性も多いのでは
ないでしょうか???

IMG_4246-copy
とにかく、直観を手がかりに、サード•ノート用の
香料を、四つか五つ選びます。そして、指定量を大胆に
試験管に入れていきます。この段階ですでに、
高揚感のせいか、何十もある香料候補のせいか、
クラクラきて何がなんだか分からなくなりつつありました。
同じ要領で、次はセコンド•ノート、、、、香料が
気持ち軽やかになっていきます。そして、最後に
華やかなファースト•ノートの香料を選び、
調合していくわけですが、本当にあっという間に
2時間が経ちます。脳みそが吹っ飛んだ様な、
なんとも不思議な疲労感。

香水には、爽やかにも「Southern Wind(南風)」と
名付けました。工房がアーカイブしてくれているので、
同じ香水が、また欲しくなれば、オーダーできるとの事。
まあまあ、イメージ通りの香りになりました。

IMG_4242_Snapseed
試しに、ファースト•ノートの香料だけ
羅列してみると「英国のお茶、緑茶、パイナップル、
グレープフルーツ、トマト」。そんなフレッシュな
ファーストに、木や花の香りのセコンド、
ムスク系のサードが混ざり、男性用としても
女性用としてもおかしくない、決して甘くない
絞まった感じの共用(ユニセックス)の香水になりました。

あくまで香水本位での話ですが、ボトルは
遮光のモノがよく、スプレーではなくて指に取る
タイプの方が実用的だそうです。今回の調香の
先生いわく、香水を少し指につけて、それを体温が
高いといわれる、手首の脈の所と耳たぶの後ろに、
こすらず、控えめにつけるのが、本来の方法だとか、、、

僕はフォトグラファーで、普段は視覚を
酷使しているわけですが、こうして視覚以外の五感が
刺激されるのも楽しいですね!次回は女性用の
香水を作ってみたいと思います。

そういや、「パフューム ある人殺しの物語」って
映画がありましたよねー。18世紀の天才調香師の
話でしたが、これも、この街グラースが舞台なんっすよ。

香水調香体験、日本語で申し込みができる
ページを見つけました。現場には、日本語ができる
フィンランド人の調香師の先生もいましたので、
日本語で受講もオーケーなはず!
http://www.galimard.com

Related