フォトグラファー仁木岳彦のイタリア日記

クルマシェアリング、百花繚乱

仁木 岳彦
上智大学新聞学科卒。旅の途中、イタリアにただならぬ縁を感じ、2000年からミラノ在住。撮影対象は興味の赴くまま、テーマはむしろ神々しい光の空気感。

シェアリング(共有)専用のクルマ達も、
かなり街に馴染んできました。色々と種類があって、
大げさに言えば、百花繚乱状態なのであります。

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これがまた、車体に目立つペイントが
されているので一目瞭然。クルマ自体が街頭宣伝に
なってしまってるところが粋なところ。

環境問題の取材で、初めてミラノの
カーシェアリングの撮影したのが、確か十年くらい前。
その頃は、地味なクルマが人知れず屋内の
パーキングにひっそりと駐車されていたのです。
試しに自分もクレジットカードと連携して
会員登録してみたのですが、まずは特別な
磁気カードが郵送され、Webサイトからクルマを予約。
その駐車場に出向き、クルマのフロントガラスの
指定された場所にカードをかざすと鍵が
開くというシステム。ただ、使い終わった後は、
元の駐車場に戻す必要もあって、イマイチ
使い勝手が悪かったんすよね。

それが、ここ数年のスマホアプリのおかげで、
カーシェアリングのシステムも様変わり!
そもそも、クルマが街中の路駐可能ゾーンに
駐車されてるんすよ。

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ダイムラー社が展開している「Car2Go」で
試してみました。二人乗りの車種「スマート」が
オシャレっすね。まずスマホアプリで位置を
確認して予約。車体と同じ水色の逆さ雫のマークが
クルマのあるポイント。クルマの前まで来たら、
スマホのスタートボタンを押します。すると
ドアキーがオープン。ここまでなんとたったの数分、
数クリック。行き先まで運転して、そこで駐車、以上。
すなわち、ミラノ市内ならば「乗り捨て」も
できるんすよ!その後は、どこかの誰かが、
同じクルマを、また予約して使う事になるわけです。
なんと言ってもシェアリングですからね。

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路駐可能ゾーンや中心部への進入制限も、
自分のクルマをよりも寛大に設定されており、
なかなか便利。最近は、ミラノ市内中心部を特別地域に
指定して、そこからクルマを追い出してしまおうと
いう流れがありまして、、、駐車違反も、
街頭カメラで監視している進入制限も、以前よりも
滅法厳しいのです。それが面倒で、すっかり
自分のクルマに乗るのが億劫になっていました。
だからと言って、公共の交通機関だけだと
思ったように用事が済ませられず、イライラしていた
ところだったんすよね。

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あと、ミラノって、空気汚染がひどいんすよ、
特に冬ですが。それで、クルマ禁止の日曜日
「No Car Sunday」などを設けることも
あるくらいなのです。クルマの総数を減らすべく、
交通手段の選択肢が増える事は歓迎すべき事なはず。
公共交通機関だけでは不便な場所、もしくは夜に
出歩く時なんかも、毎回自家用のクルマを
出動させないで、ちらりとシェアリングするのも
便利なのでは?とは言え、郊外への
長距離ドライブなんかは、今まで通り自分の
クルマでぶっ飛ばすなど、 使い分けが必要に
なってくるのでしょうね。

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ちなみにCar2Goの場合の値段ですが、
大まかに言うと1分で29セント(40円くらい)、
1時間で14ユーロ90セント(2000円くらい)。
ミラノ市内には700台あるそうです。
ミラノだけでなく、ヨーロッパと北米の
29都市で展開中で、全都市合わせると
現状1万3,000台のクル マに100万人の
メンバーがいるそうです。メンバーは
他の街でも使用可能だとか。

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シェアリングのクルマでデートしてる
若いカップルなんかも見かけました。
時代を感じますね。利 用者は、新しいことにも
抵抗がない若者が多いように見受けられます。
イタリア語でルールなども読んで
覚えなくてはならないですしね。次の
ドライバーにも迷惑かけられませんし、
限られた資源や スペースを共有してるノリもあり、
何気に市民意識みたいなモノが刺激されます。

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スマホが本格的に普及してきた2010年頃、
ニューヨーク在住の友人が、「昔はジャーナリストを
目指していたような連中の一部が、アプリ作りの
世界に来てるよ!」と言っていたのを思い出しました。
なるほどねえ、「文才や取材力を磨いて、
世の陰にも光を当てたり、コミュニティーの向上を
目指す」のが本来のジャーナリズムの役割だとすると、
考えようによっちゃ、それと同じくらいに
アプリ作りの仕事ってロマンがあるのかもしれません。
インフォメーションの新しい 流れを作るというかね。

以前はインターネット使用と言えば、そのまま
イコールWWWことWorld Wide Webだったわけです。
Crome、Safari、FIreFox などのブラウザー経由、
ハイパーリンクで情報が行き交う世界。スマホアプリは、
そんなWebベースではなくて、インターネット利用の
次段階の進化系だそうで。数クリックでクルマが
借りれるなんてね、アプリならではの芸当。
想像もできませんでした。

スマホアプリがなかったら、こんなに
便利ではなかったはずのクルマシェアリング。
まだまだ「トライ&エラー」の途中で、
未知数の部分もあるかと思います。これから
浸透するのかしないか?

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昨年のミラノ万博に合わせて、
「Shareexpo」というイニシアチブが創設され、
2015年を契機 にシェアリング・エコノミー
(共有型経済)の認知を広げたいとの動きが
あったそうです。消費者同士のモノやスキル、
サービスなどを交換するだけでなく、
共有することによって形成される経済活動を
指すのだそうで。

シェアリング・エコノミー、現実には
様々な問題や、業界との軋轢を抱えながらも、
ドライバー 付きのクルマの「Uber」、
部屋貸しの「Airbnb」、そしてオフィスを
シェアする様々な形態のコワーキングス
ペースなどが勢力を伸ばしている模様です。
イタリア発では、食事シェアの
「Gnammo (https://gnammo.com)」という
サービスが出てきたそうです。
他の家のマンマの味を 食べる事も可能だとか?
今までだと、家庭料理は友人に呼んでもらう
以外に方法がなかったです からね。
なんとも、イタリアらしいアイディア!

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